過去10年間、エヌビディア(NVIDIA)は目覚ましい成長を遂げています。特に注目すべきは、その売上と利益の顕著な伸びです。10年前、エヌビディアのグラフィックカードは主にゲーミングPCやワークステーションPCに使用されていましたが、今ではその用途が大幅に広がっています。
2014年度の年間売上高は約41億ドルだったエヌビディアですが、今四半期の売上高ガイダンス200億ドルに基づくと、2024年度の売上高は590億ドル近くに達すると予測されています。これは、過去10年間で約15倍の増加を意味します。また、2014年度の非GAAPベースの純利益が5億8800万ドルであったのに対し、2024会計年度の最初の9カ月間だけで、エヌビディアは200億ドル近い非GAAP純利益を記録しています。
データセンター事業の急成長
エヌビディアの成長の最大の原動力となっているのは、データセンター事業です。この事業は、人工知能(AI)に特化したグラフィックスカードへの需要の急増から恩恵を受けています。特に、AI市場ではエヌビディアが圧倒的なシェアを持っており、競合他社を大きく引き離しています。
エヌビディアは、ChatGPTのような大規模な言語モデルを学習するためのAIサーバーに導入される半導体の最大の販売業者です。アナリストの推定によると、同社は現在この市場の80%を支配しており、AMDやインテルといった競合他社は大きく後れを取っています。例えば、AMDが見込む2024年のAI半導体の売上高はわずか20億ドルに過ぎません。一方、エヌビディアは、前四半期にAI半導体を50万個販売し、データセンター部門の売上を前年同期比279%増の145億ドルに押し上げたと報じられています。
AI半導体市場における将来性
エヌビディアは2024年にフラッグシップのAIグラフィックカード「H100」の生産量を3倍にする見込みであることを考えると、この半導体の販売だけで450億ドルから600億ドルの売上を上げることができるかもしれません。このように同社は圧倒的な優位性を持っており、2027年には4000億ドルの売上が見込まれるAI半導体市場において、同社が覇権を維持する可能性は十分にあります。
エヌビディアの競合他社が競争力のある製品を投入し、5年後にAI半導体市場における同社のシェアを50%まで下げると仮定しても、それでも同社はこの分野から2,000億ドルの売上を上げることができます。この額は、エヌビディアが今年度に達成しようとしている売上の3倍以上の額であり、それも1つのセグメントだけからの売上です。
あるウォール街のアナリストは、さらに楽観的です。みずほ証券のビジェイ・ラケシュ氏は、エヌビディアがAI半導体市場で75%のシェアを維持することで、2027年までにAI関連の年間売上高が3000億ドルに達すると予測しています。これは、エヌビディアが直近の会計年度に生み出した売上の10倍以上となります。
多角的な成長戦略
エヌビディアはAIに限らず、デジタル・ツインやクラウド・ゲーミングなど、他の分野でも注目すべき成長の機会を持っています。例えば、デジタル・ツイン市場では、メルセデス・ベンツやBMWといった大手自動車メーカーとの契約により、1500億ドルの売上をあげる可能性があると同社は見ています。
また、クラウドゲーム市場も長期的にはエヌビディアの重要な成長ドライバーになりそうです。同社はこの黎明期にある分野で圧倒的な市場シェアを誇っており、その結果、売上が大幅に跳ね上がる可能性が高いと見られています。
株価8倍の可能性
アナリストは、エヌビディアの収益が今後5年間で年平均成長率113%で増加すると予想しており、これは過去5年間の成長率48%を大きく上回る数字です。より保守的にアナリスト予想の半分の50%で今後5年間収益が増加すると仮定すると、同社の収益は5年後に1株当たり93ドルに急増する可能性があります(今年度の予想収益12.29ドルをベースとする)。この予想収益にエヌビディアの5年後のフォワード利益倍率42倍をかけると、5年後の株価は3900ドル。現在の株価の8倍に跳ね上がる可能性があります。
まとめ
エヌビディアは、AI半導体市場を始めとする多様な分野での急成長が見込まれ、長期的に見ても優れた投資機会を提供しています。データセンター事業の成功、AI市場における強力なシェア、そして新たな成長分野への進出は、エヌビディアの未来を明るく照らしています。投資家にとって、このテクノロジー大手に注目する理由は十分にあります。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
この記事は情報提供を目的としており、投資アドバイスではありません。投資判断は自己責任で行ってください。