マイクロソフトのAIへの注力と市場への影響
マイクロソフト(MSFT)は、11月15日と16日に開催されたイグナイト・カンファレンスで、AI対応ソフトウェアの拡充と、自社製AI半導体「Azure Maia AIアクセラレータ」の開発を発表しました。これは、技術巨人としてのマイクロソフトの進化を示し、人工知能市場に大きな波及効果をもたらす可能性があります。
365 Copilotに対する市場の反応
カンファレンスで注目を集めたのは、マイクロソフトの生産性ソフトウェア用AIベースのコンパニオン、365 Copilotです。アナリストからは熱狂的な反応が寄せられ、ウェドブッシュのダニエル・アイブス氏はこれをAIマネタイズの「ゲームチェンジ」と評し、Copilotは2025年までにマイクロソフトのトップラインに200億ドルの増収をもたらす可能性があると指摘しています。
アイブズ氏はマイクロソフト株の目標株価を400ドルから425ドルに引き上げ、「アウトパフォーム」の格付けを維持しています。
AIチップ「Maia」の戦略的重要性
マイクロソフトの自社製AI半導体「Maia」は、大規模言語モデルのトレーニングや推論に特化しており、これまでエヌビディア(NVDA)の半導体に依存していたマイクロソフトとOpenAIにとって大きな転換点を意味します。しかし、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)から完全に乗り換えるわけではなく、これらの企業との関係も継続することが示唆されています。
マイクロソフトの戦略とその競合他社への影響
マイクロソフトのこの動きは、AI市場における競合他社、特にエヌビディア、AMD、インテル(INTC)にも影響を及ぼす可能性があります。独自のAI半導体を持つことで、マイクロソフトはより強い交渉力を持つことが予想されます。また、マイクロソフトは、アーム(ARM)からライセンスされたデータセンターCPU「Azure Cobalt」の発表も行い、CPU市場におけるインテルの地位にも影響を与える可能性があります。
株価への影響
この発表を受けて、マイクロソフト株は上昇し、アナリストからの評価も高まっています。一方で、エヌビディアやAMDの株価にも動きが見られ、インテル株は米国みずほ証券による格上げのニュースで上昇しています。
まとめ
マイクロソフトのこの戦略的な動きは、AI市場における同社の地位を強化するだけでなく、他のテクノロジー企業にも大きな影響を与えることが予想されます。投資家にとっては、これらの動向を注視し、戦略的な投資判断を下すことが重要になります。
*過去記事 マイクロソフト MSFT