アップル(AAPL)が世界で最も価値のある企業の座からすべり落ちる可能性が浮上してきました。
生成AIの成長:アップルの立ち位置
アップルは2011年に初めて世界で最も価値のある企業となり、それ以来ほとんどの間、その座を守ってきました。しかし、時価総額が3兆ドル近くに達している今、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、といった企業がこの巨人に取って代わる可能性があると、ニーダムのアナリスト、ローラ・マーティン氏は述べています。これらの企業は、AI技術、特に生成AIの分野で先行している点が、アップルに比べて利点となっています。
「生成AIはメディアやインターネット企業の競争基盤を再定義しようとしている。まだ始まったばかりなので、敗者を選ぶのは難しいが、大規模な言語モデル(LLM)を保有する企業が明確な勝者となるだろう」とマーティン氏は指摘しています。
アップルの戦略と可能性
マーティン氏の考えでは、アップルはクラウドコンピューティング・プラットフォームを通じてLLMへのアクセスを提供する独自のビジネスを持っていないため、相対的な敗者となります。仮にアップルがAI分野に参入したとしても、現在のリーダー企業による先行者利益により、アップルは敗北する可能性が高いと同氏は見ています。
同氏は、AI顧客がプロバイダーを変更するのはコストがかかり、将来のモデルを作成するためのデータコストが上昇するため、後発組は「絶望的」だと考えています。
「(マイクロソフト、アルファベット、アマゾンの)LLMは、最も低いコスト構造と先行者利益を持っているだけでなく、彼らのLLM上に構築されたアプリの粘着性により、クラウド顧客一人当たりの平均生涯価値は急上昇しようとしている」と同氏はリサーチノートに書いています。
しかし、マーティン氏はアップルが絶対的な敗者になるとは言っていません。同氏はアップルが20億台以上のデバイスからなるその独自のエコシステムを利用して、成長を続ける能力を持っていると信じています。さらに、同氏はアップルがウォルト・ディズニー(DIS)を買収し、コンテンツビジネスを拡大することを支持しています。
マーティン氏はアップルを「買い」と評価し、目標株価を195ドルに設定しています。
未来への展望:AI主導の革新と企業の成長
マーティン氏の分析によれば、今後10年間でAI主導の革新が進行し、メディアとインターネット分野におけるコスト削減(20-30%)と収益増加が予想されます。この流れがアマゾン、アルファベット、マイクロソフトにとって有利に働き、時価総額でアップルを追い越す可能性があります。
*過去記事はこちら アップル AAPL