デジタルオーシャン(DOCN)は8月3日、2023年の全体の見通しを下方修正し、一部の過去の報告結果を会計エラーの修正のために再発表すると発表しました。これにより、3日のアフターマーケットで同社の株価は22.13%下落し、36.35ドルとなりました。
会計上の誤り
中小企業向けにクラウドコンピューティングサービスを提供するデジタルオーシャンは3日午後、証券取引委員会に提出した書類の中で、6月期の財務諸表を作成するにあたり、3月期の決算に「ある誤り」があったことを明らかにしました。
具体的には、資産化された研究費の税務申告に関する会計処理に問題があったとのこと。未払税金が約1800万ドル過大に計上されていたということです。この修正により、3月期の非GAAPベースの1株当たり利益が過少に計上されていたことになります。デジタルオーシャンは、この重要な誤りを開示し、修正四半期業績報告書をSECに提出すると発表しました。
監査結果と業績再表示
アーンスト・アンド・ヤングによる監査の結果、財務報告に関する内部統制が有効でなかったという意見が出され、監査意見書の再発行が予定されています。
デジタルオーシャンは、これまでに報告された業績の一部を修正再表示する予定です。これには、未払税金の過大計上により過小評価されていた1株当たり利益の修正も含まれます。
6月期の業績と今後の見通し
6月期の売上高は1億7,000万ドルで、27%増加し、同社のガイダンス範囲である1億6,950万ドル〜1億7,050万ドルの範囲内に収まりました。調整後Ebitda(金利、税金、減価償却費、償却費控除前利益)は7200万ドル、利益率は43%で、ガイダンスの範囲である37%〜38%を大きく上回りました。
同社は、税務申告の問題があるため、1株当たり利益の最終的な数字は出せないものの、合計ではガイダンスのレンジの40セント〜41セントを上回るとしています。
第3四半期については、売上高は1億7240万ドル〜1億7400万ドルで、アナリストのコンセンサス予想である1億7000万ドルには届かず、調整後のEbitdaマージンは38%〜39%の範囲に後退すると見ています。
通期では、売上高は6億8,000万ドル〜6億8,500万ドルになると予想し、前回予想の7億ドル〜7億2,000万ドルを下方修正しました。しかし、調整後Ebitdaマージンは38%〜39%、調整後フリーキャッシュフローマージンは21%〜22%の予想を維持しています。
同社はこれまで、通期の非GAAPベースの1株当たり利益を1.70ドル〜1.73ドルと予想していましたが、税金費用の報告ミスの修正が完了次第、1株当たり利益の見通しを更新するとしています。
CEOのコメント
デジタルオーシャンCEOのヤンシー・スプルール氏は、バロンズとのインタビューで、「良い四半期を過ごした」とし、「コストコントロールにおいて大きな進歩を遂げた」と述べました。しかし、一部の顧客が自社のビジネスの弱さを反映して支出の増加を遅らせているとも述べました。
同氏は、最近の需要の軟化傾向が底打ちしていると考えているものの、「底を予想するつもりはない」と付け加えました。デジタルオーシャンは、クラウド業界の大手企業と同様に、消費ベースのモデルを採用しており、中小企業の顧客に対しては、支出の調整が迅速に反映されます。「顧客のビジネスが減速すると、その支出はすぐに修正さる」と同氏は語っています。
今後の影響
このような業績再表示とガイダンス修正の発表は、短期的には株価に影響を与えますが、長期的にはどのように影響するかはまだ見えていません。デジタルオーシャンが適切な対応を行い、顧客に対する信頼を回復するための戦略を立てることが求められます。
*過去記事はこちら デジタルオーシャン DOCN