ウォール街が注目する人工知能(AI)ソフトウェア企業、シースリー・エーアイ(AI)の株価がこのところ冴えません。
株価はなぜ下落したのか?
同社の株価は6月23日の市場でも12%近く下落して33ドル近辺で取引されています(米国東部夏時間1:50PM現在)。このような急落は、4月11日の33%近い下落以来の出来事で、このまま行けば今週の下落率は30%近くになります。
こうした株価下落の背後には、企業向けAIソフトウェアメーカーとして人気を博していたシースリー・エーアイに対する投資家の信頼感の揺らぎがあると考えられます。特に、同社がAIブームの中でどの程度早く財務的利益を上げることができるか、という点が注目されています。
投資家向け説明会の反響
シースリー・エーアイは6月22日に投資家向け説明会を開催しましたが、その内容に対するアナリストの反応は必ずしも良好とは言えませんでした。
ドイツ銀行のブラッド・ゼルニック氏は、説明会後のコメントで、「財務の詳細が全く分からず、業務に関する最新情報も限られており、投資家もほとんど参加しなかったため、不満が残った」と語り、格付けを「売り」と評価しました。目標価格は16ドルと現在の株価の半分近い非常に慎重な評価をしています。
他のアナリストたちも、財務情報の欠如に不満を感じているようです。モルガン・スタンレーのサンジット・シン氏は、格付けを「アンダーウェイト」とし、目標株価を20ドルとしながらも、同社の “トップ・オブ・ファンネル “の需要とパイロットの進捗状況には勇気づけられるが、株価については依然として懸念しているとコメントしています。
ウォルフ・リサーチのジョシュア・ティルトン氏もまた、満たされない気持ちでイベントを後にした1人で、「アンダーパフォーム」の格付けと14ドルの目標株価を維持しています。
D.A.デビッドソンのギル・ルリア氏は、格付けを「中立」、目標株価を30ドルとし、「我々は、生成AIによる追い風が株価に適切に反映されていると見ている」と述べています。
シースリー・エーアイの株価は直近で大幅な下落を見せましたが、これは企業の投資家向け説明会の結果に対する反応、特に財務情報の不足によるものと考えられます。一方で、同社のAIソフトウェアに対する需要や、AI市場の大きなトレンドに乗っている可能性は、今後の成長への期待を維持する要素となっています。
*過去記事「企業向けAIソフトウェアメーカー、シースリー・エーアイの株価急騰:AI需要増大と予想上回る四半期業績が背景」