ここ最近のAI関連銘柄の爆発的な上昇に多くの投資家が驚かされています。特に、マイクロソフト(MSFT)、エヌビディア(NVDA)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、メタ・プラットフォームズ(META)、アルファベット(GOOGL)などの大手企業の株価は今年に入ってから大きく上昇しています。
これらの急激な上昇はバブルを形成しているのではないかという懐疑的な声も聞こえてきます。しかし、このような視点に対して米国の経済誌バロンズはバブル説を否定しています。今回の記事では、その詳細をお伝えします。
AI銘柄の急騰と市場の反応:バブル疑惑の背景
最初に、このような疑問が浮上している背景を理解するために、各AI関連企業の現状を見てみましょう。
マイクロソフトは、自社のクラウド製品にAIを組み込んでおり、この分野での競争力をさらに高めています。その結果、マイクロソフトの株価は、今年に入ってから35%以上上昇しています。
アルファベットは、広告サービスにAIを組み込んでおり、その結果、今年に入ってから株価が40%近く急騰しています。
一方、メタとエヌビディアの株価は、今年、2倍以上になりました。特にメタは、2022年に株価が暴落していたため、AIラリー前は特に割安でした。
AMDの株価も、売上の大部分がデータセンターからもたらされているため、今年に入ってから80%以上上昇しています。
しかし、こうした急騰が市場のバブルを形成しているのではないかという懐疑的な意見も存在します。実際、エバコアのストラテジストはこれらの大型ハイテク株の最近のアウトパフォームは、他の市場に対して、過去のバブル期と同程度のものだと指摘しました。
バロンズの見解:バブルレベルには達していない
しかし、バロンズの見解としては、これらの銘柄が必ずしもバブルであるとは断定できないというものです。
バロンズは、現状がバブルと言えるほどの過剰なバリュエーションには達していないとみています。ナスダック総合指数のフォワード株価収益率は、AI銘柄を中心としたもので、約27倍となっていますが、これは2000年初頭のドットコムバブル時のピークの60倍以上と比べると、まだ遥かに低いレベルだとバロンズは指摘しています。
ファンダメンタルズの裏付け
また、バロンズは現在のバリュエーションがファンダメンタルズによって支えられていることを指摘しています。
ファクトセットの調査によると、アナリストたちは、ナスダックの年率換算1株当たり利益の成長率が、今後約3年間はほぼ18%になると予想しています。現在の倍率は、その成長率の約1.5倍ということになります。
つまり、投資家は、得られる収益成長率1%ポイントに対して1.5ポイントのPER倍率を支払っていることになり、S&P500のPEGレシオが2倍強であることを考えると、それほど高いとは言えないとバロンズは述べています。
AI関連銘柄はバブルではない:バロンズの結論
このように、バロンズは、AI関連銘柄の上昇がドットコムバブル時代とは全く異なるものだと述べています。そして、AI関連銘柄は一時的な下落を経験する可能性はあるものの、それは大きな上昇トレンドから見れば些細なことで、むしろ押し目買いが賢明であると指摘しています。