AIの進歩で1兆ドルクラブ入りが期待できる2つの半導体銘柄

現在、時価総額が1兆ドルを超える企業は、アップル(AAPL)、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)の4社ですが、人工知能(AI)の進歩により、2つの半導体銘柄が1兆ドルクラブに入る可能性があります。

エヌビディア(NVDA)

エヌビディアは、ゲーム用途やデータセンターで使用される世界最先端のグラフィックチップを製造していることで知られていますが、AI業界のリーダーとしても急速に認知度を高めています。

同社は、これまでも常にAI技術のパイオニアでした。2016年には、オンラインチャットボット「ChatGPT」の開発元であるオープンAIに、世界初のAIスーパーコンピュータの1つを納入しています。現在、オープンAIは数千にも及ぶエヌビディアの高度なグラフィックチップを使って大規模な言語モデルの訓練を続けています。

キャシー・ウッド氏が率いるARKインベストメントは、AIソフトウェアの売上が毎年42%ずつ増加し、2030年には14兆ドルに達すると考えており、それによって世界経済に200兆ドルの生産性の増加をもたらす可能性があると考えています。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、継続的にコンピューティング・パワーのコストを下げるという考え方であるムーアの法則には物理的な限界があると信じていますが、AIを用いることによってソフトウェアは既存のハードウェアから1,000倍以上の性能を引き出すことができると考えています。

エヌビディアは、DGXスーパーコンピュータをMicrosoft Azureなどのクラウドプロバイダーを通じてオンラインで利用できるようにすることで、すべての企業がそれぞれの目的に合ったAIを開発するために必要なインフラへのアクセスを提供することになりました。

こうしたことによってエヌビディアに対する見方を変えようと主張するアナリストが増えています。同社はもはや単なる半導体メーカーではなく、それに見合ったソフトウェアを構築しているエンドツーエンドのプラットフォーム・コンピューティング企業となっているからです。

ドライブ・プラットフォームはその好例で、自動車メーカーが新車に完全自律型の自動運転機能を搭載するために必要なすべてのハードウェアとソフトウェアを提供します。アライド・マーケット・リサーチによると、2030年までにこの分野だけで2兆1,000億ドルのビジネスチャンスがあるとのことです。

3月31日現在で6922億ドルの時価総額であるエヌビディアは2023年に最もパフォーマンスの高い銘柄の1つで、年初来で90%の上昇を記録しています。AIだけをとっても非常に大きな成長の機会があることを考えると、これから10年以内に1兆ドルクラブ入りする可能性は十分にあります。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)

AMDは、プロセッサーからグラフィックチップまで、世界で最も需要の多い半導体を製造しており、人気のある家電製品やデータセンターで使用されていますが、時価総額で見るとエヌビディアにかなり遅れをとっています。3月31日現在で同社の時価総額は1579億ドルであり、同社が1兆ドルを超えるためには、株価が533%上昇する必要があります。

1兆ドルクラブ入りを果たすには多くの時間を用すると考えられますが、そこで決め手となるかもしれないのが、昨年行った490億ドルでのザイリンクスの買収です。ザイリンクスはアダプティブ・テクノロジーの世界的リーダーであり、AMDは、統合された会社が今後数十年にわたってハイパフォーマンスコンピューティングをリードすると考えています。

一般的なコンピューターチップはソリッドステートで販売されているため、アップグレードするにはユニット全体を新しいモデルに交換する必要があります。一方、アダプティブ・ハードウェアは、製造工程を経た後でも再設定が可能で、ワークロードに応じて、ライブ環境で出力を調整することができます。

コンピューティング・ハードウェアの進歩は、今後、指数関数的ではなく、漸進的に進むかもしれませんが、アダプティブ・テクノロジーは、企業が通常のアップグレードサイクルとは違った方法で、より迅速にパフォーマンスの向上にアクセスできるようにします。

AIソフトウェアがハードウェアを劇的に効率化するかもしれませんが、アダプティブ・ハードウェアは、さらに大きな性能向上をもたらすかもしれません。そして、それこそが、より高度なモデルを開発するための鍵になるかもしれません。

AMDは、2017年の53億ドルから2022年の236億ドルまで、過去5年間で34.6%の年平均成長率で売上を伸ばしました。その結果、同社の株価はP/S(株価純資産倍率)6.5で取引されています。

P/Sレシオが一定であると仮定すると、AMDの時価総額が1兆ドルを超えるためには、年間売上高1520億ドルを達成する必要があります。平均34.6%の年間売上成長率を維持することができれば、今後7年以内に売上高1520億ドルに到達する可能性があります。

たとえその成長率が鈍化したとしても、AMDがエヌビディアとともにAIによる成長の機会を享受できることを考えると、長い目で見れば、最終的に1兆ドルクラブに入る可能性は十分にあります。

*過去記事はこちら「AMD

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