IPOブームが再燃?成長企業の多くが人材増を計画し将来に楽観的

大手ハイテク企業の人員削減が連日ニュースとなっており、企業が守りの姿勢に入った印象を持ちがちな現状ですが、それが全ての企業に当てはまるとは限らないようです。

雇用プラットフォーム「グリーンハウス」が最近行った、従業員100人以上の企業のCEO300人を対象にした調査の結果からは全く逆の傾向が見て取れます。この調査によれば、CEOの約68%が今年、従業員を増やすことを計画しており、81%が国内の経済見通しを楽観視しているそうです。

数万人、数十万人の従業員を抱える企業は、長いサイクルで計画を立て、予防的な行動を取らなければなりません。大手ハイテク企業におけるレイオフの多くは、実際の経済的圧力に対応したものではなく、むしろ不況が訪れるかもしれないという認識とリスクに対応したものであることが多くなっています。

しかし、新進気鋭の成長企業は同様の考え方はしていません。彼らはより最近の経済ニュースに敏感で、大手ハイテク企業の大規模な人員削減が計画・発表された数カ月前、あるいは数週間前に比べれば、経済は好転しており、景気後退を回避できるかもしれないと考えるエコノミストが増えていることに同調しているようです。

新興企業や成長技術の分野は急速に変化しています。ここ数年の厳しい経済環境は厳しい淘汰を行いました。多くの企業が撤退を余儀なくされた後で現在残っているのは、市場に適合して収益を上げ、有意義なイノベーションの原動力を持つ強力な企業です。こうした企業は、よりスリムな体型になり、収益性を高め、大手企業を去ることを余儀なくされた技術系人材を積極的に獲得しています。

こうしたIPO前の企業が多く属している成長セクターの環境は、大手ハイテク企業のセクターとは全く違っており、両者の姿には大きな乖離があります。

米国におけるIPOは2021年に過去最高を記録しましたが、2022年は一転、80%以上の減少を記録しました。23年も低調なスタートでこのままのペースで行けば昨年をさらに下回る可能性があります。

しかし、IPO前の新進気鋭の企業のCEOの多くが、IPOは「もし」ではなく「いつ」の問題だと考えているそうです。彼らはこの1年、財務を整え、製品を強化し、アドバイザーを雇い、市場に出るために必要なあらゆることを黙々とこなしてきています。

2020年から2021年にかけてのSPACブームでは、その業務内容に疑問のある企業が多く上場しましたが、次のIPOの波は、はるかに質の高いものになると予想されています。

次のIPOブームは、2021年の「ゴーゴーIPO市場」と称されたものとは異なり、より持続可能であることが期待できます。これは、次の成長とイノベーションのサイクルを牽引する企業を早期に購入する機会を投資家に提供することを意味します。

ただ、これを阻む要因が存在します。それは、以前は上場前の企業に際限なく資金を投入していたベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ企業の多くが、その姿勢を180度変えていることです。

ここ数カ月、市場が低迷する中、彼らは「何としても収益を上げる」ことに方針を転換し、投資先企業にコスト削減の大きなプレッシャーをかけています。バリュエーションが下がるにつれ、成長企業は追加資本を得ることをためらい、あるいはできなくなり、コスト削減は死活問題になっています。

ただ、こうした圧力が、劣悪な経営や財務管理を行っている企業を淘汰する結果となったことも事実であり、否定的な面ばかりがあるわけではありません。しかし、それが行き過ぎて現在は緊縮財政の要求が優良企業に実害を及ぼしています。

成長企業のCEOのほとんどが、有能な人材を積極的に採用し、イノベーションに投資すべき時に、投資家との厳しい取締役会に拘束され、動きにくくなっています。収益性の追求と成長の追求とがバランスの取れた状態に戻ることが次のIPOブームをもたらす必須条件となっています。

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