インテル(INTC)は1月26日のマーケット終了後に第4四半期決算を発表しましたが、利益が予想を下回り、3月期の売上高見通しもウォール街の予想を大幅に下回ったことから、27日の市場では株価が8%近く急落しています。
第4四半期の売上高は140億ドルで、アナリストのコンセンサス予想の144億9000万ドルを下回りました。調整後1株当たり利益は、コンセンサス予想の21セントに対し、10セントとこちらも大きく下回っています。
足元で進行中の第1四半期については売上高を105億ドル〜115億ドルとする見通しを示し、こちらもアナリスト予想の139億3000万ドルを大幅に下回りました。
経済誌バロンズの電話インタビューに答えたCFOのDavid Zinsner氏は、経済の不確実性を理由に、通年の財務予測を行うための第1四半期以降の見通しを十分に持っていないと述べました。また、同氏は、12月期の中国でのビジネスが予想に反して最悪であったとも述べています。同氏は、第1四半期に顧客が半導体の在庫を大幅に削減すると予想しています。
一般的なPC市場が軟化していることは誰もが知っていました。調査会社IDCによると、全世界のパソコン出荷台数は、9月期に前年同期比15%減だったのが、12月期には28%減となっています。
それでも、インテルの第1四半期の見通しが大方の予想を大きく下回ったことは、アナリストや投資家を驚かせました。
バーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は1月27日、インテルの格付け「アンダーパフォーム」を再確認するとともに、目標株価を23ドルから20ドルに引き下げました。
「第1四半期の見通しは、低予想値から見ても驚くほど悪く、収益と売上総利益率は、環境のさらなる悪化と大量の在庫処分の中で崩壊している。悪化の度合いは目を見張るものがある」と同氏は書いています。
Zinsner氏は経済の不確実性を不振の理由にあげましたが、実際の問題はより深いところにあります。インテルが稼ぎ頭として期待しているデータセンター・サーバー用半導体はライバルであるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の製品にに遅れをとっています。
業界アナリストの比較によると、インテルの現行のサファイア・ラピッズ・サーバー・プロセッサとAMDのサーバー用半導体であるジェノアとの間には、価格と性能の間に大きなギャップがあることが分かっており、今後数四半期はAMDがサーバーセグメントでシェアを拡大する可能性が高いと見られています。
この差は、すでに数字に表れています。インテルのデータセンター部門の売上は、第4四半期に前年同期比33%減、営業利益は84%減となりました。AMDが来週発表する12月期決算でも、サーバー以外のPCは同様の落ち込みを見せる可能性がありますが、それでもAMDのサーバー部門はインテルの部門よりはるかに良い業績を上げると予想されています。
カウエンのアナリスト、マシュー・ラムセイ氏は、AMDの高性能サーバー・プロセッサーによるインテルへの競争上の逆風は、今後2年間で投資家の予想よりもさらに大きくなる可能性があると見ており、「2023/24年は、明らかにインテルにとって厳しい年になる。執行が改善されれば、長期的には大きな可能性があるが、短期的にはポジティブなカタリストがほとんどないため、我々は傍観者としての立場を堅持する」と書いています。