エヌビディア データセンター事業の成長が2023年以降の追い風に

エヌビディア(NVDA)株は2022年10月の初めに年初から60%近く下落した後盛り返し、直近の3ヶ月では3割近くも上昇しています。

この上昇の要因のひとつとして考えられるのが、エヌビディアのArmベースのサーバープロセッサーの採用が進むことが予想され、それが、2023年以降、エヌビディアにとって追い風となると考えられていることです。

サーバー用プロセッサーの市場は、現在、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とインテル(INTC)のx86アーキテクチャをベースとしたプロセッサーが主流となっています。市場調査会社Omdiaの推計によると、2022年第2四半期にArmベースのサーバープロセッサーが占める割合はわずか7.1%と報告されており、残りはx86プロセッサが占めています。

このようにまだ非常に低いシェアであるにもかかわらず、ArmサーバーCPUの採用が一貫して伸びていることは注目に値します。2019年のArmサーバープロセッサーの市場全体に占める割合は1%未満でしたが、それが、2020年には2.2%、2021年には5.4%へとシェアを拡大しています。

Armベースのサーバープロセッサーの需要が伸びているのは、消費電力を抑えながら高い演算能力を発揮できるという性能を持っているからで、このため長期的そして飛躍的にその需要が伸びることが予想されます。

さらに、Armベースのチップは、人工知能(AI)や機械学習などの特定のワークロードを実行するためにカスタマイズすることができます。このため、アルファベット(GOOGL)、アマゾン(AMZN)、オラクル(ORCL)などの多くのクラウドサービスプロバイダーがデータセンター用にArmベースのサーバーを採用しています。

場調査会社TrendForceによれば、データセンター・サーバーにおけるArmプロセッサーのシェアは、2025年までに22%に跳ね上がると予想されています。Omdiaの別の推計では、2026年までにArmチップはクラウドサーバーの半分を駆動するようになる可能性があります。

これらのことから、Armベースのサーバープロセッサー市場は今後10年間で3倍以上に拡大し、今年の推定売上高52億ドルに対し、2032年には170億ドル近い年間売上高を生み出すと予想されています。

これらの予想を踏まえるとエヌビディアがそのArmベースのサーバープロセッサーの市場に適切なタイミングで参入していることがわかり、同社が販売するArmベースのデータセンター向けのCPU「Grace」が2023年の同社の売上に大きく貢献することが期待できます。

エヌビディアの次期Graceサーバーチップは、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSM)の最新の5ナノメートル(nm)製造プロセスに基づいていると予想されています。TSMCの5nm製造ノードは、先行する7nmプロセスよりも80%高密度化されていると言われており、このプラットフォームを使って作られたチップは、より小さな面積により多くのトランジスタを詰め込むことで、より少ない消費電力でより多くの計算を実行することができるように設計されています。

エヌビディアは、GraceプロセッサーがインテルのIce Lakeサーバ・プロセッサーよりも大幅に高速かつ効率的であると主張しており、2022年5月のプレスリリースで、多くの企業から注目されており、2023年前半からの出荷が期待できると発表しています。

エヌビディアはすでにデータセンターのグラフィックカード市場で圧倒的な強さを誇っており、同社のクラウドサービスプロバイダーとの既存の関係を考えると、Armベースのサーバープロセッサー市場でもすぐにシェアを確保することは十分に予想できます。

もしエヌビディアが2023年末までにArmサーバープロセッサー市場の10%でも獲得することができれば、上述の推定市場規模に基づき、5億ドルの売上増を見込むことができます。

このように、エヌビディアによるサーバープロセッサーの導入は、同社の急成長するデータセンター事業に大きな弾みをつけ、今年の株価の大幅下落の主因となったゲーム市場における低迷をカバーすることができます。

エヌビディアは2023年度の最初の9カ月間で、前年同期比55%増の114億ドルという売上高をデータセンター事業で記録しています。Armベースのサーバープロセッサーという新たな触媒が加わったことで、同社はデータセンターのこの凄まじい成長を維持できるはずで、アナリストが2024年度(2023年2月開始)の同社の業績が上昇すると予想する理由の1つになっていると思われます。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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