テスラ 第3四半期決算に対するアナリストの評価、格付けに変更なし

10月19日に第3四半期決算を発表したテスラ(TSLA)。売上高は過去最高を更新したものの、中国市場の競争激化などで期中の販売台数は事前の市場予想を下回りました。売上高215億ドルで営業利益37億ドルという業績は、どちらもアナリストの予測を少し下回っています。

ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブス氏は10月20日付けのレポートで、サプライチェーンの問題とインフレが引き続き利益率の足を引っ張っていると指摘しながら、この四半期を「立派なもの」と評価しています。同氏は現在の業績についてそれほど心配しておらず、世界的不況に向いつつある中での今後の需要動向を心配しています。

テスラのイーロン・マスクCEOは決算説明会に出席し、テスラは作れるだけの車を売ることができるとの以前の発言を繰り返し、世界的に新車販売における電気自動車の普及率がまだ低いため、テスラは不況に「強い」と述べたとのこと。また、テスラがアップル(AAPL)とサウジアラビア石油を合わせた以上の価値を持つようになる道筋が見えると述べたとも伝えられていますが、両社を合わせた時価総額は約4兆4000億ドルで、テスラの現在の時価総額のおよそ6倍にあたります。

アイブス氏はマスク氏のようには楽観しておらず、「買い」の格付けは維持しましたが、目標株価を360ドルから300ドルに引き下げています。

カウエンのジェフリー・オズボーン氏も「ホールド」の格付けを維持しつつ、目標株価を244ドルから205ドルに引き下げています。同氏は価格動向を懸念しており、第3四半期は1台当たりの平均販売価格と粗利益が第2四半期から低下したことを指摘しています。同氏はまた中国の経済環境が悪化していることも懸念しています。

RBCのアナリストであるJoseph Spak氏はより楽観的です。「短期的には、投資家は(粗利率と)需要が少し厳しいことに注目するかもしれないが、しかし、中期的には、我々は需要についてあまり心配していない、30%(グロスマージン)に戻る道を見ている」と10月19日付けのレポートで述べています。

同氏はまたインフレ抑制法による電気自動車に対する新たな税額控除がテスラにとって追い風となること、マスク氏が電話会議で言及した自社株買いの可能性も、株価にはプラスに働くと強調しています。同氏は「買い」と格付けしたものの、目標株価は340ドルから325ドルに引き下げています。

トゥルイストのアナリスト、ウィリアム・スタイン氏は目標株価を引き下げませんでした。348ドルを維持、テスラ株を「買い」と評価しています。スタイン氏は少し楽観的な見方をしており、10月20日付けのレポートで、販売価格の下落を「気晴らし(a distraction)」と呼んでいます。また、テキサス州とドイツにあるテスラの新施設での生産増により、同社は2030年までに年間1000万台の車を製造するペースにあると信じていると述べています。

ただスタイン氏のような見方は例外的で、世界経済の状況を考えアナリストの多くは少し慎重になっているようです。決算発表後、アナリストの平均目標株価は、301ドルから292ドルへと約9ドル(3%)下落しました。この数字は小さく見えるかもしれませんが、過去10年間のテスラの決算報告後の引き下げ幅としては3番目に大きいものです。

しかし、テスラ株を格上げ、格下げしたアナリストはいませんでした。同銘柄をカバーするアナリストの約54%が「買い」の評価をしています。S&P500の構成銘柄の「買い」評価比率は約58%となっています。

テスラ株は10月20日、6.7%減の207.28ドルで取引を終えています。

*過去記事はこちら テスラ TSLA

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