強固な財務体質を基にデジタル広告をリードするトレードデスク

7月から始まった四半期決算の発表で最も注目された企業のひとつがトレードデスク(TTD)です。8月9日に行われた決算発表の翌日、株価は36%高と暴騰しました。市場のセンチメントが不安定な中、トレードデスクは予想をはるかに上回る業績と今後の見通しを発表し、同社のビジネスが経済環境に左右されない強力なものであることを示したことに市場は反応しました。

トレードデスクは、プログラマティック広告(コンピューター、モバイル、コネクティッドテレビにおいてリアルタイムで広告枠の入札を自動的に行い、広告を表示する仕組み)の領域で圧倒的な力を発揮しています。

具体的には、トレードデスクは、バイヤー(主に広告代理店)が最適化された視聴者とマッチングするリアルタイムのデータ駆動型マーケティングキャンペーンを容易に定義できるようにするバイサイドのプラットフォームを運営しています。

プログラマティック広告の追い風が吹き続ける中、トレードデスクのユーザーフレンドリーなプラットフォームは、業界の水準を上回る成長率を記録しており、競合他社から市場シェアを奪っています。CEOのジェフ・グリーン氏は、「どのような市場環境においても」シェアを奪い続けることができると自社の優位性に自信を示しています。

そんな自信の基盤となっているのがトレードデスクの強固な財務体質です。同社は負債を持たず、9億3300万ドルのキャッシュポジションを維持しています。過去1年で14億ドルの売上を上げた企業としては、これは驚くべき額です。

また、今期はさらに8600万ドルのフリーキャッシュフローを獲得しており、潤沢なキャッシュをさらに増やしています。

他のハイテク企業が、迫り来る金利上昇の脅威の下で、財政の立て直しに躍起になっている中、トレードデスクの安定した財務状況は、不安定な市場でシェアの拡大を目指す同社にとって大きな拠り所となっています。

トレードデスクは、過去8年間の顧客維持率が95%を超えるなど、顧客にとって付加価値の高いサービスであることはすでに証明されています。

そんな高い付加価値をさらに高めてくれるものとして期待されているのが、Unified ID 2.0(UID 2.0)です。UID 2.0は業界全体で広く受け入れられており、グーグルが今後数年のうちにChromeブラウザで段階的に廃止する予定のサードパーティ製広告トラッキングクッキーの事実上の代替品になりつつあります。

UID 2.0は個人を特定できる情報を使用しないため、プライバシーを重視する人々にとってより使いやすく、かつ広告主とターゲットオーディエンスを結びつけるのに有効な新しいIDフレームワークを確立するものです。

Vox Mediaやウォルト・ディズニー(DIS) のESPN、ABC、Huluなどの人気コンテンツとUID 2.0の統合が進んだことにより、この新しいアプローチ、そして進化する広告領域におけるトレードデスクのリーダーとしての地位はさらに確かなものとなっています。

広告は、景気後退の際にしばしば予算削減の対象となります。トレードデスクは財務的に恵まれていますが、代理店が広告費削減を選択した場合、短期的には打撃を受ける可能性があります。

そうしたリスクはありますが、中長期的視点から見れば、市場シェアのさらなる拡大とUID 2.0の着実な普及が期待できるトレードデスクへの投資は非常に魅力的です。

*過去記事はこちら トレードデスク TTD

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