ファンドマネジャーが推奨する割安に見える半導体関連株9つ

  • 2022年8月14日
  • 2022年8月14日
  • BS余話

言わばエヌビディア(NVDA)ショックみたいなものが先週の半導体業界では起こりました。エヌビディアはビデオゲームをターゲットとしながら暗号通貨のマイニングにも使用されるグラフィックス・チップの需要が大幅に減ったことにより、7月31日に終了する同社の第2四半期の業績が従来の予想を大幅に下回ると報告、81億ドルから67億ドルの売上と17%も下方修正したため、株価は大きく下落しました。「エヌビディア 第2四半期の売上高と粗利益率の大幅下方修正で8%下落

これにさらに拍車をかけたのがメモリチップ大手のマイクロンテクノロジー(MU)。すでに同社は5月31日に終了した四半期の決算報告で、PCとスマートフォンの販売が軟調であることを指摘し、ウォール街の予想を下回る見通しを既に提示していましたが、エヌビディアの発表の1日後、わずか6週間前に提示したガイダンスを大幅に引き下げました。

先週開催された投資家会議で、マイクロンのCFOのマーク・マーフィー氏は、販売不振が自動車や産業界の顧客にも波及し、さらに悪化していると述べました。この問題を最終需要の減少ではなく、「在庫調整」と同氏は表現しましたが、それによって市場に与えるショックを和らげることはできなかったようです。

この需要動向を受けてすでにマイクロンは半導体製造装置への支出を削減しており、来年2023年度の支出は2022年度から「大幅に減少」する見込みであることが明らかにされたことで、半導体業界に激震が走りました。

皮肉なことにマイクロンのこのニュースが米国市場に伝わったのは、バイデン大統領が署名して半導体補助金法が成立した8月9日。半導体の生産や研究開発に527億ドルの補助金を投じるこの法律が成立したにもかかわらず、この日、半導体や半導体製造装置関連株は大きく下落しました。

市場は半導体関連株に関する悲観論で埋め尽くされ、下落基調が続くことを予測する意見であふれましたが、なかにはこうした動向に異論を唱える専門家もいます。

コロンビア・セリグマン・テクノロジー&インフォメーション・ファンド(SLMCX)のポートフォリオ・マネージャーを務めるポール・ウィック氏は、以前から半導体関連銘柄にチャンスがあると信じている人物として知られています。

同氏は、データセンター・ハードウェアの巨大な需要、好調なPC市場、自動車への半導体使用の増加、5Gワイヤレスの出現などで「ここ数年、多くのことがすべて同じ方向に進んでいた」とこれまでの状況を分析。エンドマーケットの需要がほぼ完璧な状況の中で業界全体が大きく伸びたあと、2021年末から今年初めにかけて多くの半導体関連株がその反動で大きく下落したと、今年に入ってからの業界の状況を 述べています。

そんなウィック氏はエヌビディア、マイクロンの発表に端を発した悲観論がうずまく現在の状況について、「人々は、チップ業界に打撃を与える可能性のある、下半期から来年にかけての景気後退の可能性に注目している。しかし、彼らはその先、2年後、3年後に、その企業がうまくいく可能性が高いことには目を向けていない」と評し、「多くの銘柄が、忘れられているように感じられる」と述べています。

ウィック氏はバーゲンハンティングの選択肢はたくさんあると見ており、具体的に以下のような銘柄の名前をあげています。

ランバス(RMBS)

同社のメモリーチップのロイヤリティビジネスが「予測可能で健全」であるとし、強気の姿勢。

コルボ(QRVO)

携帯電話用無線チップのメーカーである同社は最近Androidスマートフォンの弱さを理由に見通しを下方修正しましたが、ウィック氏は、2023年3月期という「谷間の」利益の12倍で取引されているこの銘柄は割安に見えると主張。

マイクロチップ(MCHP)

自動車や産業用の部品を製造する同社は最近の四半期の失敗はなく、コルボと同様、将来利益の12倍と控えめな価格で取引されているとして強気。

NXPセミコンダクター(NXPI)

同じく12倍の株価で取引され、好調な業績を上げていますが、それでも今年に入ってから20%以上下落していることを指摘。

アナログ・デバイセズ(ADI)

ブロードコム(AVGO)

この両社ともにファンダメンタルズは「盤石なようだ」と述べ、強気。

また、ウィックの同僚でファンドのアナリストであるシェカール・プラマニック氏は、市場が半導体装置銘柄に弱気すぎる、と考えており、以下の銘柄の名前をあげています。

ラムリサーチ(LRCX)

アプライドマテリアルズ(AMAT)

KLA(KLAC)

同氏は3社のいずれにも強気で、これら3社はすべて、受注残を処理することで需要が鈍化しても、来年は成長するだろうと予想しています。

ウィック氏もこの意見に賛成しており、この3社は「世界で最も戦略的な企業の一つである」とし、中国が自国のリソグラフィ装置開発に資金を投入しているものの、3社のレベルまでには到達していない旨を述べています。

中国が台湾に攻勢をかけることで、世界の半導体供給網にリスクが生じることを世界中が懸念していることについて、ウィック氏は、「中国と台湾の半導体生産は、米国の装置プロバイダーからの装置、スペアパーツ、サービスへのアクセスを失うと、機能不全に陥るだろう」と述べ、米国の半導体装置メーカーの存在なしにはそもそも供給網が成り立たないことを主張しています。

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