企業向けソフトウェアのセクターについて、グッゲンハイム・パートナーズのアナリスト、ジョン・ディフッチ氏が8月11日、カバレッジを開始しました。
ディフッチ氏はグッゲンハイムには入社したばかりですが、ウォール街ではよく知られた存在で、これまでジェフリーズ、JPモルガン、オッペンハイマー、そして今はなきベア・スターンズとドナルドソン、ラフキン&ジェンレットでソフトウェアセクターをカバーしてきました。
同氏はこのセクターにおける買うべき銘柄や売るべき銘柄などを以下のように発表しています。
買うべき6つの銘柄
オラクル(ORCL)
ディフッチ氏はオラクルのクラウド化に強気で、一桁台の高い売上成長と二桁台の利益成長を維持すると見ています。また、クラウドコンピューティングサービスにおいて、アマゾン(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)、グーグルを相手にした競争で成果を出していると評価しています。目標株価を107ドルに設定しており、これは現在の水準から38%の上昇を意味します。
パロアルトネットワークス(PANW)
このセキュリティ・ソフトウェア会社は、今年度のガイダンスを容易に達成するだろうとディフッチ氏は述べています。「同社は、ゼロ・トラストへの移行と、セキュリティ市場におけるベンダーの統合傾向から恩恵を受ける立場にある」とし、目標株価を625ドルとして、20%のアップサイドを示唆しています。
クラウドストライク(CRWD)
このエンドポイントセキュリティ企業については、「この業界の魅力的な特性を示す、よく経営されたソフトウェア企業である」としています。「セキュリティ企業が永続的な価値を提供することができると、懐疑的な人たちを納得させることができると期待している」と述べ、目標株価を270ドルに設定しており、これは現在の水準から35%の上昇を意味します。
スプランク(SPLK)
IT システムの監視に使用されるソフトウェアを販売するスプランクの株価の現在の水準は「単純に低すぎる」としています。目標価格160ドルは、40%近いリターンの可能性を示唆しています。
Zスケーラー(ZS)
「最終的には、Zスケーラーはクラウドベースのネットワークセキュリティにおけるリーダーシップを維持すると信じている」と評価し、目標価格233ドルは、30%近いリターンの可能性を示唆しています。
プログレソフト(PRGS)
同社が中核のOpenEdgeソフトウェア開発プラットフォームから得られるキャッシュフローを、増収効果のある買収に再投資するために使用しているとディフッチ氏は述べています。「経営陣は、規律あるやり方で実行する能力があることを証明している」として、目標株価を60ドルに設定し、25%の上昇を見込んでいます。
売るべき4つの銘柄
オクタ(OKTA)
ID管理ソフトウェア会社である同社を「大きく、拡大し、過小評価されている」と見る一方で、「近いうちに2、3の難しい四半期がある」と同氏は見ています。目標株価89ドルは、8月11日の終値よりも16%低い水準です。
ワークデイ(WKDY)
企業向け人事・財務ソフトを販売する同社は、景気低迷の影響を考えると、2023年度の売上ガイダンスを達成するのは「困難」だと見ています。目標株価134ドルは、8月11日の終値よりも22%低い水準です。
セールスフォース(CRM)
クラウドソフトウェアの代表的企業である同社は、多くの投資家が認識している以上に有機的成長が鈍化しているとし、新規事業獲得のために同業他社よりも「実質的に」多くの費用を投じていると分析しています。
また、同社が歴史的にフリーキャッシュフローを買収に費やす傾向があることにも警戒感を示しています。ディフッチ氏は、2026年度までに年間売上高500億ドルを達成するというセールスフォースの目標にはリスクがあると見ています。株価の下げ幅は20%程度と見ており、目標株価は150ドルとしています。
スノーフレーク(SNOW)
同社は「その技術と摩擦のないビジネスモデルの点で際立っている」とし、「クラウドデータウェアハウスの好ましいベンダーになった」と評価していますが、「潜在的な景気後退に直面して慎重になっている」とし、同社の見解に反して、同社がこの景気の影響を免れるとは考えていません。目標株価の125ドルのは28%のダウンサイドを意味します。
ニュートラル評価の3つの銘柄
マイクロソフト(MSFT)
マイクロソフトは、売上高とフリー・キャッシュフローが10%台半ばで成長すると見ていますが、Windowsの「継続的な低下」も見ており、これは現在の市場予想には織り込まれていないとディフッチ氏は考えています。「現在の水準では、リスクとリターンのバランスが取れており、株価は公平に評価されている」と書き、目標株価を8月11日の終値より1%高い292ドルに設定しています。
クラウドフレア(NET)
同社の成長ストーリーには好感を持っているものの、同業他社に比べバリュエーションが高いため、それほど上昇するとは考えていません。「これ以上高い株価をつけることは、我々が許容する以上のリスクをもたらすようだ」とディフッチ氏は書いています。目標株価82ドルは、現在の水準から4%の潜在成長率を意味します。
サービスナウ(NOW)
「非常によく経営されている会社」と評価していますが、このワークフロー管理ソフトウェア会社は、特に不況が長引いた場合、長期的なサブスクリプション収入の目標を達成できない可能性が高いと、アナリストは述べています。目標株価510ドルは、8月11日の終値よりやや低い水準です。