デジタルオーシャンについて意識しておくべき3つのポイント

中小企業専用のクラウドプラットフォームを提供するデジタルオーシャン(DOCN)にとって今年は厳しい年となっています。ナスダック総合指数がこれまで28%下落しているのに対し、デジタルオーシャンは57%も下落しています。

このところアナリストによる格下げが相次いでおり、今年の後半も同社にとって厳しい状況が続くことが予想されます。こうした荒波を乗り切るために、デジタルオーシャンについて意識しておくべき3つのポイントをモトリーフールが指摘していますので、ご紹介します。

中小企業にフォーカスしていること

デジタルオーシャンのクラウドプラットフォームは、クラウドの専門家ではない個人の開発者や中小企業を対象にしています。

専門知識をもたない中小企業にとってクラウドインフラの開発を独自に行うことは困難です。アマゾン・ウェブ・サービスのような大規模なプラットフォームを使用する場合、その圧倒的な製品の数とカスタマーサポートが最小限であることを考えると、中小企業にとっては大きな負荷となります。

そこでデジタルオーシャンは、中核的な製品のみを提供するシンプルなプラットフォームを構築しました。同社はまた、開発者がクラウドでの運用方法を学ぶことができるコミュニティなど、クラス最高のカスタマーサポートの構築にも力を注いできています。

このニッチな取り組みには、いくつかの利点があります。まず、デジタルオーシャンは、このニッチな顧客層にサービスを提供することで知られるようになり、専用ブランドとしての評判を得ることに成功しました。

デジタルオーシャンのブランド評価は、他の点でも成果を上げています。2022年第1四半期、同社は売上高の15%しか営業とマーケティングに費やしていません。一方で例えばスノーフレーク(SNOW)のような企業は最近の会計四半期で売上の58%近くをマーケティングに費やしています。

さらに、62万3,000以上の顧客を持つため、投資家は顧客の集中を心配する必要がありません。ただ、このニッチな焦点には欠点もあります。

それは、これらの顧客がまさに「小さい」ということです。62万3,000の顧客のうち、月50ドル以上使うのは10万2,000に過ぎません。したがって、デジタルオーシャンの拡大戦略は、数百万ドルの顧客を獲得するのではなく、多くの小規模な顧客を獲得し、彼らの支出を増加させることになります。

デジタルオーシャンはまさにそれを実践しており、第1四半期では、同社のネット・リテンション・レートは117%、月50ドル以上の利用者では118%でした。現在世界には1億の中小企業が存在し、同社の成長の余地は十分にあります。

2022年後半は荒れた展開になること

中小企業に特化していることは、さらに欠点があります。このコホートは通常、10億ドル規模の大企業よりも予算が厳しいため、景気後退の影響をより受けやすくなります。

今後景気後退の可能性がある中、デジタルオーシャンは解約率の上昇やユーザー1人当たりの平均売上高の伸び悩みに直面することが予想されます。ウォール街のアナリストは、この点を指摘し格下げが相次いでいます。

また、同社は最近、一部製品の値上げを発表しました。中小企業が景気後退に敏感であるのと同じ理由で、値上げも中小企業に打撃を与える可能性があります。この2つが同時に顧客に影響を与えるため、デジタルオーシャンの投資家にとって第2四半期または第3四半期は荒れた展開になり、我慢を強いられる可能性が大きくなっています。

キャッシュフローを重視していること

多くのハイテク株は、景気後退の懸念が生じるまで、キャッシュフローと収益性に重点を置いていませんでしたが、それが今になって株価の大幅な下落という現象になってこうした企業を苦しめています。

しかし、デジタルオーシャンは、キャッシュフローの創出を優先してきた珍しい存在です。第1四半期には4%のフリーキャッシュフローマージンを達成し、経営陣はこれが年間を通じて改善し、通年では9%に達すると見込んでいます。

営業利益率に関しても、同社は同様の見解を持っており、第1四半期の営業利益率は低迷しましたが、通期では非GAAPベースの営業利益率が14%になると予測しています。

このようなことに注力することで、景気後退期にも同社は浮揚を続けることができる力を持っています。不況になれば、他のライバル企業よりも大きな打撃を受けると思われますが、その財務状態は良好です。バランスシートには15億ドル以上の現金と有価証券があり、不況という嵐に耐える資源を持っています。


今後しばらくの間、厳しい展開が続くと思われますが、売上高の8倍という、上場してからの最低の評価額は、この痛みをすでに織り込んでいるようにも思えます。さらに、デジタルオーシャンの健全なバランスシートと今年の収益性の楽観的な見通しにより、不況になったとしてもそれを乗り切るのに十分な強さを備えているようです。

デジタルオーシャンは、まだ十分なサービスを受けていない顧客グループにサービスを提供しており、これらの中小企業は依然としてクラウドインフラストラクチャを望んでいます。今後数ヶ月の間に要求される量が変わるかもしれませんが、こうした小規模な顧客からの長期的な採用が揺らぐことはないと思われます。デジタルオーシャンは、このニッチな分野のトップ企業として、長期に渡り、その恩恵を受けることができると考えられます。

*過去記事はこちら デジタルオーシャン DOCN

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