10倍以上が期待できるアップスタートの10年後

アップスタート・ホールディングス(UPST)は10年後にどのような企業になっているでしょうか。そんな楽しい未来図をモトリーフールが描いていますので、ご紹介します。

アップスタートは、2020年12月の上場以来、投資家をジェットコースターのような旅に誘ってきました。1株20ドルで市場に登場し、その後2000%以上のロケット高を記録、2021年10月には史上最高値の401ドルに達しました。

しかし、金利上昇と幅広いハイテク株売りの中で、アップスタート株はその後、その高値から90%も暴落し、現在は38ドル近辺で取引されています。

同社は人工知能(AI)を使って融資を査定するツールを銀行に提供する企業であり、過去33年間フェアアイザック(FICO)のFICOクレジットスコアリングシステムを使ってきた金融機関が、より迅速で正確な評価ツールを求める中、その要望に応えて数兆ドル規模の市場へ参入にしようと取り組んでいます。

FICOクレジットスコアは1989年から使用されており、それから今日まで信用度の標準的な指標の1つとなっています。FICOスコアは、主に5つの要素を考慮し、借り手の支払い履歴と現在の債務がスコア全体の65%を占めています。アップスタートは、現代経済は30年前より進化しているため、FICO方式は時代遅れであり、金融機関はより多様な指標群を評価すべきであると主張しています。

アップスタートのAI駆動型アルゴリズムは、出身校や職歴など、借り手候補の最大1,600のデータポイントを分析しており、信用力をより正確に表現するのに役立つと同社は考えています。同社が実施した調査によると、同社のAIアルゴリズムは、従来の審査方法と比較して、貸し倒れが75%減少する実績を出しています。アップスタートを利用する金融機関の数が、過去12カ月で3倍以上に増えたのは、このためです。

2021年第1四半期の18から2022年第1四半期に57に増えた金融機関のうち、11の銀行パートナーは現在、融資方針においてFICOクレジットスコアをクリアすることを最低条件とすることを放棄しており、アップスタートのアルゴリズムへの信頼がいかに高いかを物語っています。

アップスタートへの信頼の高まりはそれだけではありません。トップクラスの自動車メーカー35社が、全米のディーラー525店舗で新しいアップスタート・オート・リテール販売・ローン組成ソフトウェアを採用しています。これらのパートナーは、アップスタートが年間7510億ドルと推定される自動車ローン分野で成長を続けているため、今後重要な収入源となると思われます。

アップスタートが自動車ローンのオリジネーションに進出したことは、年間1120億ドルの無担保ローン市場であった同社の当初の事業分野からの大きな飛躍を意味します。しかし、その一方で、成長のための苦悩もあります。同社は最近、クレジット市場の変動に伴い、一部のローンをバランスシートに吸収することを余儀なくされましたが、経営陣は、この現象は一時的なものだと述べています。アップスタートはオリジネーターとして手数料を稼ぎたいのであって、自らお金を貸したいわけではありません。

そんな苦悩があったとしても、現在アップスタートが掲げている2022年の売上目標12億5000万ドルを達成すれば、2017年以降、年複利成長率85%で成長していることになり、これは途方もない売上実績となります。

それ以上に途方もないのは、上場まもないにもかかわらず同社が既に利益を出していることです。これは急成長するテクノロジー企業では稀なことです。2021年には売上高2億4400万ドルで1株当たり2.37ドルの調整後当期純利益を出しました。アナリストは、金利上昇と経済減速の可能性の中で、今年はこの数字が1株当たり1.84ドルに落ち込むと予想していますが、2023年には1株当たり2.58ドルと力強い成長への復帰を見込んでいます。

アップスタート(あるいはどの企業も)が毎年85%の売上成長を継続することを期待するのは非現実的ですが、そこまではいかなくても今後も飛躍的な成長が期待できる要素はあります。

まず、あげられるのが新しい市場への参入です。アップスタートは、住宅ローンのオリジネーションと中小企業向けローンのオリジネーションに参入すれば、年間の対処可能な市場機会は6兆ドルを超える可能性があると説明しています。時期については明らかにしていませんが、最近の四半期ごとのプレゼンテーションでこの市場への参入機会があることを同社は提示しています。

それに加えて、人工知能の活用によって2030年までに世界の経済生産高が13兆ドル増え、企業の70%が何らかの形で人工知能を利用しているという試算もあります。アップスタートが提携している銀行が業界全体のごく一部であることを考えると、同社には長い成長ランウェイがあり、金融分野におけるAI導入に大きく貢献する可能性があります。

そんなバラ色の未来図どおりにはならず、仮に同社の売上が現在の3分の1、つまり今後10年間、毎年平均28%のペースで成長したとしても、10年後の年間売上高は147億ドルに到達することになります。これは現在から10倍以上の増加であり、現在の株価対売上高比率がまったく変わらないと仮定すれば、アップスタートの株価が史上最高値の401ドルを超えるのに十分な額となります。

アップスタートのAIアルゴリズムが、さまざまな経済状況下でFICOスコアリングシステムを上回り続ける限り、同株式の長期的な上昇ポテンシャルは極めて高いと思われます。

*過去記事はこちら アップスタート UPST

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