アマゾンの株価が分割後に急騰すると予想される3つの理由

アマゾン(AMZN)の株式分割(1株を20株に分割)は6月3日に行われ、6日に分割が株価に反映されることになります。株価は6月3日の終値が2,447ドルとなっており、6日に約122ドルで始まるはずです。 株式数は、5億900万から102億に急増します。

アマゾンが株式分割を行うのは、1997年の上場以来4回目ですが、20年以上ぶり。他の3回の分割はいずれもインターネットバブル期で、1998年6月に1対2、1999年1月に1対3、1999年9月に1対2の分割が行われています。

株価が20分の1になることによって、ダウ・ジョーンズ工業株平均に組み入れられる可能性が出て来ました。30銘柄で構成されるダウ・ジョーンズ工業株平均は、昔ながらの価格加重方式を採用しており、アマゾンは株式分割をしない限り、無理なく指数に組み入れることができませんでした。組み入れられることになれば、機関投資家が買いに動くようになるため、株価は上昇することが予想されます。

それ以外にも市場では以下の3つの理由により今回の株式分割が起爆剤となって株価が急騰することが予想されています。

AWSの成長

アマゾンといえば、その巨大なeコマース事業をまず思い浮かべる人が多いと思います。実際、同社は世界の多くの電子商取引市場で圧倒的なシェアを誇っています。デジタル決済の調査会社PYMNTSによると、米国におけるオンライン小売の全購入額の約57%がアマゾンのプラットフォームで行われているそうです。

ただ実際は、一般の消費者には馴染みのない事業が、現在のアマゾンの屋台骨を支えています。それがアマゾンウェブサービス(AWS)で、クラウドコンピューティングプラットフォームとして圧倒的なシェアを誇っています。

AWSは何百万もの企業が、クラウドベースのアプリケーションを動かすために使用しているインフラであり、高性能なコンピューティングとストレージ、そして増え続けるクラウドサービスを簡単に利用できるようにします。また、機械学習や人工知能などの最先端技術も容易に利用することができます。

スタートアップ企業にとっては、自社でデータセンターを構築するよりも、初期費用を抑えてAWSを利用する方が費用対効果が高い場合があります。また、AWSを利用することで、中小企業も大手のライバル企業と同じツールの多くを利用することができます。また、大企業はAWSを利用することで、オンプレミスのネットワークで提供できる以上のセキュリティを確保しながら、事業を迅速に拡大することができます。

このように、AWSはアマゾンにとって巨大かつ急成長するビジネスであり、最も重要な利益ドライバーとなっています。このセグメントの売上は、第1四半期だけで前年同期比37%増の184億ドル、営業利益はさらに57%増の65億ドルに達しています。

クラウドへの移行がまだ初期段階にある中、AWSの成長は今後何年にもわたってアマゾンの拡大を促進し続けるはずです。

デジタル広告の成長

デジタル広告もまた、アマゾンを見る場合において見落とされがちな利益要因のひとつです。多くの消費者がオンラインショッピングの検索をアマゾンで開始し(そしてしばしば終了し)、同社の広告プラットフォームは、無数のサードパーティ・マーチャントにとって不可欠なマーケティングツールとなっています。

アマゾンは、消費者が最も購買意欲のあるときに広告を出せるという、他社にはない特徴を備えています。人々は、自分が必要とするものを検索し、購入するという明確な目的のためにこのプラットフォームを利用します。

そのため、広告ネットワーク上でのコンバージョン率は、一般の検索エンジンやソーシャルメディアよりもはるかに高い傾向にあります。そのため、広告主は、このような顧客を獲得するために多額の費用を支払っているのです。

その結果、アマゾンの広告ビジネスは急成長しています。第1四半期の広告収入は、23%増の79億ドルという驚異的な伸びを示しました。日々、より多くの広告費がデジタルチャネルに移行しており、アマゾンの急成長中の広告ビジネスは、今後数年間ではるかに大きく成長することが予想されます。

割安な株価

多くのハイテク株と同じようにアマゾンの株価は今年に入ってから大きく下落しており、年初来では28%の下落となっています。

現在、アマゾンの株価は、2022年の1株当たり121ドルの営業キャッシュフロー予測の約20倍で取引されています。これは、過去5年間では最も低い水準です。

2023年のアナリストの予測を用いると、アマゾンの評価はさらに魅力的に見えます。現在、同社の株式は、来年度の予想営業キャッシュフローである1株当たり176ドルの14倍で取引されています。

アマゾンの株価が今後数年間、現在の価格で取引される可能性は低いと予想されています。それよりも、AWSとデジタル広告の売上が利益を急増させ、株価が上昇する可能性の方がはるかに高いと思われます。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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