ベアマーケットの今だからこそ株式分割の効果が期待される3銘柄

ハイテク株を多く抱えるナスダックは弱気相場の領域に突入し、昨年末につけた高値から約27%も下落しています。こんな局面だからこそ、これから行われる予定の株式分割が株価の起爆剤になることが期待されます。その成長力故に株式分割の効果が期待される銘柄をモトリーフールがピックアップしていますので、ご紹介します。

アマゾン(AMZN)

アマゾンのeコマース事業が、同社の知名度を高めているのには十分な理由があります。eMarketerによると同社のシェアは、2022年には米国のオンライン小売売上高の40%を占めるようになると予想されており、さらに世界の電子商取引のリーダーであり、市場の約8%を支配していると推定されています。

その圧倒的な支配力にもかかわらず、オンライン小売はアマゾンの大きな成長機会の始まりに過ぎません。クラウド・コンピューティングを大衆に普及させたアマゾンは、現在も世界市場の約33%のシェアを占め、リーダーとしての地位を不動のものにしています。

第1四半期には、アマゾンのクラウドコンピューティング部門であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の売上が前年同期比37%増となり、圧倒的な地位を維持することに成功しました。

さらにもうひとつの成長の柱であるデジタル広告が育っています。eコマース事業は、急成長するデジタル広告事業の基盤となっており、2021年、この部門の売上高は310億ドルを超え、世界のデジタル広告市場において、アルファベット(GOOGL)、メタプラットフォームズ(FB)に次ぐ第3位を獲得しています。

「ビック3」事業以外にも、アマゾンの成長を今後後押しする可能性のある分野はまだあります。顧客ロイヤルティプログラムであるAmazon Primeの有料会員数は推定2億人であり、Prime Videoはストリーミングビデオサービスの上位を占めるようになっています。

EchoとそのデジタルアシスタントAlexaのような音声制御のスマートスピーカーは、現在は目新しさの方が際立っていますが、具体的な使用例がいつ生まれてもおかしくはない段階にきています。

可能性のある領域はまだまだあります。まだ本格的な事業化には至っていませんが、「Just Walk Out」技術は勢いを増しています。この人工知能(AI)プラットフォームは、カメラ、センサー、高度なアルゴリズムを用いて、買い物客が食料品店内を移動する際に購入した商品を追跡し、「ただ歩いて出て行く」だけで、レジの列に並ぶことなく、デジタル・レジ・テープを生成してアカウントに請求することができます。

アマゾンはこの技術を全世界の42店舗で展開し、他の食料品店にもライセンス供与しています。英国第2位のスーパーマーケットチェーンであるセインズベリーズは、ホルボーンサーカスの店舗をアマゾンの技術で改装しており、これが最初の店舗になる可能性もあります。

これらの事業をはじめとするアマゾンの昨年の業績は好調で、純売上高は22%増の4700億ドル、純利益は57%増の334億ドルに達しました。

今年初めに1対20の株式分割を発表して以来、eコマースの減速懸念と弱気相場がハイテク株の重しとなり、アマゾンの株価は苦境に立たされています。ただ歴史的に見れば、こうした要因は短期間で終わるはずで、今回の株式分割はこの世界トップクラスの銘柄の株式を安い単価で手に入れることができる絶好のチャンスと言えます。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

アルファベット(GOOG/GOOGL)

アルファベットは4月上旬に2021年の業績を発表した際、株式分割を行う意向を明らかにしました。Googleの親会社である同社は、7月15日の市場終了時に1対20の株式分割を予定しています。この記事を書いている時点での株価は2,156ドル前後であることから、分割後の株価は約108ドルとなります。

このように分割が必要になるほど株価を高騰させたのは、過去数年間にわたる目覚ましい成長によるものでした。検索エンジンや動画プラットフォーム「YouTube」にユーザーを呼び込み、巨大で急成長する広告ビジネスを生み出した結果、2022年第1四半期には売上の約8割を広告から得るようになっています。

広告への一極集中のリスクを避けるため、同社は数多くの事業に参入しました。ライフサイエンス企業のVerily、運転技術企業のウェイモ、AI研究企業のディープ・マインドなどは、そうした取り組みのひとつです。

そうした中でも特に成長が目覚ましいのが、クラウドインフラ事業であるGoogle Cloudです。アマゾンのAWSやマイクロソフトのAzureに遅れをとっているにもかかわらず、Google Cloudは第1四半期の売上を前年同期比43%増の58億ドルに伸ばしました。これは、第1四半期の売上高が23%増の680億ドルとなった全体業績を上回るものです。

業績を伸ばしたにもかかわらず、株式評価損の計上により四半期純利益が8%減の164億ドルに落ち込むと、株式は大きく売り込まれました。現在のアルファベットの株価は過去1年間の最高値から30%近く下落しています。

この結果、株価収益率(PER)は約19倍となり、マイクロソフトの27倍やアマゾンの52倍を大きく下回る評価となっています。

同社は第1四半期に153億ドルのフリーキャッシュフローを生み出し、その流動性を約1400億ドルにまで高めました。このような現金の蓄積により、アルファベットのバランスシートは業界で最も強力なものの1つとなっています。

今回予定されている株式分割は、このように割安となっている高成長銘柄を安い単価で手に入れることができるまたとない機会を提供するものとなりそうです。

ショッピファイ(SHOP)

コロナウイルスが世界中で猛威を振るったとき、市場はeコマース銘柄に群がりました。しかし、コロナウイルスが終息しつつある現在、その流れは全く逆転しています。投資家はeコマース銘柄を避けるようになり関連する銘柄の株価は大きく下落しました。企業や起業家向けのeコマースサイトを運営するショッピファイはこの逆流の中の真っ只中にあり、株価は3年前の水準にまで下落してしまいました。

過去3年間で、ショッピファイの売上高はほぼ3倍になっています。それだけでも素晴らしいことですが、さらに注目されるのは、同社が発表しているサブスクリプション・ソリューションとマーチャント・ソリューションという2つのセグメントの売上の動向です。

サブスクリプション・セグメントは、プラットフォームへのアクセスを得るための月額利用プランから収集される売上を表しています。他のサブスクリプション・ビジネスと同様、同社は顧客がプラットフォームを利用するかどうかにかかわらず、顧客からお金を徴収しています。

一方、マーチャント・ソリューション部門は、顧客の利用状況によって左右されます。ショピファイの加盟店は、プラットフォーム上で販売を行う際、代金の回収、フルフィルメントサービスの利用、あるいはショピファイの配送を利用します。このような取引に基づくサービスのコストは、マーチャントソリューション・セグメントでカウントされます。つまり、加盟店がプラットフォーム上でより多くの売上を上げることができれば、ショッピファイのこのセグメントの売上と利益が増えることになります。

201920202021
売上高1,578百万ドル2,929百万ドル4,612百万ドル
前年同期比47%86%57%
マーチャント・ソリューションの売上高936百万ドル2,021百万ドル3,270百万ドル
前年同期比54%116%62%
マーチャント・ソリューション比率59%69%71%

上の表から、マーチャント・ソリューション部門が事業全体よりも速く成長し、全体に占める割合が大きくなっていることがわかります。

これは、ショッピファイの顧客、つまりプラットフォーム上で商品を販売するマーチャントが、ショッピファイのコアであるサブスクリプション・ビジネスよりも速く成長していることを意味するものであり、ショッピファイ、そのマーチャント、投資家にとって非常にポジティブな兆候であると言えます。

では、買い物客の動向はどうなっているのでしょうか。下の表から、ショッピファイのプラットフォームを使ってオンラインで商品を購入する顧客は、年々支出が増えていることがわかります。これは、消費者がショッピファイのマーチャントのオンラインストアで消費することを好んでいることを示していると考えられます。

201920202021
商品総売上高(GMV)611億ドル1,196億ドル1,754億ドル
買い物客数3億人4億5,700万人5億9,700万人
買い物客1人当たりのGMV$204$262$294

ショッピファイの株価は過去1年間の最高値から80%近く下落と、6月22日に行われる1対10の株式分割の前にすでに分割されてしまったかのようなレベルにまで落ちてしまっています。ここまで下がってもまだ安くないとの声が市場からは聞こえて来ますが、上記のようなマーチャント・ソリューション部門の成長や消費を増やしている買い物客の動向は、同社が売り手、買い手の両者からしっかりとした支持を得ていることを示しています。

現在の株価で分割されると株価は約35ドルということになりますが、今から何年か経って振り返ったときに絶好の買い場だっと言われるようになる可能性は高いと思われます。

*過去記事はこちら ショッピファイ SHOP

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