前の日4月28日に第1四半期決算を発表したロク(ROKU)の株価は、ハイテク株を中心とする高PER(株価収益率)銘柄の売りが加速して29日の米国市場全体が大きく崩れるなか、前日比1.39%増と逆行高を演じました。
ロクの投資家はこの1年間あまり株価の大きな下落で痛手を被ってきましたが、ようやく明るい兆しが見えてきたようです。
前日発表された決算の内容は確かに印象的なものでした。特に目立ったのが、プラットフォームの売上成長率と通年の売上ガイダンスという2つの数字です。
ロクの総売上は第1四半期に前年同期比28%増の7億3,400万ドルに達しました。これはアナリストの平均予想7億1,800万ドルを上回るもので、アナリストの予想の中にはロシアとウクライナの戦争が始まる前に出されたものもあることを考えると、素晴らしい成果であると言えます。
特に際立っているのが、プラットフォームの売上です。プラットフォームの売上は、主にストリーミングテレビのプラットフォームにおける購読料、広告料、取引料からのロクの取り分で構成され、前年比39%増となりました。
総売上の88%を占めるこのセグメントには、「コンテンツ配信と広告収入の増加による恩恵」があったと、経営陣はロクの第1四半期の株主への書簡の中で述べています。特に広告ビジネスは絶好調でした。
経営陣は、コネクテッドTVに賭ける広告主の勢いの一端を捉え、「放送局TV広告主上位10社は、従来の有料TVへの支出を7%減らす一方で、ロクへの支出を前年比で約80%増やした」ことを指摘しています。
今後、ロクはストリーミングTVに移行する広告予算の大部分を獲得し続けるだろうと考える理由があります。経営陣によると、直近12ヶ月間に同社のプラットフォームで100万ドル以上の広告を使った広告主のうち、96%が継続的に広告を掲載しているとのことです。この広告費は前年同期比で平均50%以上増加しています。
さらに心強いのは、ロクが通年で強気の見通しを示したことです。第1四半期は28%増にとどまり、第2四半期も25%増にとどまりましたが、通期の売上高は2021年比で35%増とするガイダンスを維持しました。これは、経営陣が下半期に大幅な加速を期待していることを意味します。
サプライチェーンの途絶や地政学的緊張をめぐる不確実性によって一部の広告主の広告予算がマイナスの影響を受ける年に35%の成長を予測することは、同社にとっての追い風がいかに強いか、またその中でいかに有利なポジションを占めているかを示していると言えます。
長いトンネルを経てようやく出口が見えてきたのかもしれません。
*過去記事はこちら ロク ROKU