2022年のアップスタートについて知っておくべきこと

アップスター・ホールディングス(UPST)は世間一般の知名度という点で、いまはまだ無名と言っていい存在です。しかし、それががいつになるかは別にして、いずれその名前が広く知られるようになる時が来る可能性は非常に高いと思われます。

その理由は、アップスタートが、金融業界が解決をあきらめていた長年の問題に対して、待望の解決策を提供しているからです。

アップスタートは金融機関に、借り手の信用力を判断するためのより効果的な方法を提供します。この作業は、トランスユニオン(TRU)、エクィファクス(EFX)、エクスペリアンの3大信用調査機関と、信用調査機関のデータを考慮して銀行やその他の金融機関が融資の可否や条件を決定する際に最終的に使用するFICOスコアを作成するフェア・アイザック(FICO)が長年にわたって共同で行ってきました。しかし、1989年にFICOスコアが融資業界の標準となって以来、世界は変わりましたが、信用格付けビジネスは変わっていません。

アップスタートの創業者たちは、この機会を逃さず、2012年に全く異なる種類の信用スコアリングを念頭に置いて会社を設立しました。

アップスタートは、いくつかの要素に基づいた、個人の信用力を正確に示すかどうかわからない数値に頼るのではなく、1000以上のデータポイントを調べる人工知能アルゴリズムを使用して、個人が借りた資金を返済する可能性を算出します。このアプローチは、FICOスコアベースの方法よりもっと効果的です。

アップスタートのサービスを利用している数十の銀行やクレジット会社では、融資の承認数が減ることなく、融資の不履行が75%減少しています。

以上のような背景をもつアップスタートの2022年の動向について、現在の株主と将来の株主が知っておくべき重要なことは以下の4つです。

これが新しい信用力の基準

ほとんどの金融機関やクレジットカード発行会社は、消費者への融資リスクを判断するのに、いまだにFICOベースのスコアに依存しています。しかし、この状況は少しずつではありますが、変わりつつあります。アップスタートは11月に、第3四半期中に4つの銀行パートナーがFICOスコアの使用をやめ、AIベースの手法を採用したことを報告しました。

いくつかの異なる理由から、より多くの銀行や貸し手が同様の決定を下すことが予想されます。その理由の1つは、最も明白なもので、貸し倒れの減少です。もう1つは、信用リスクはないものの、従来のクレジットスコアを支えるだけのクレジットヒストリーを持たない人々のクレジットへのアクセスを改善するという考えを支持する、幅広い文化的な動きに起因するものです。

高値の株価は将来を反映

アップスタートは、長年の問題に対して待望の解決策を提供しているだけでなく、スタートアップ企業の多くが実現できていない、黒字化にも成功しています。

しかし、同社の株価は決して安くはありません。同社は、今年の50%の売上成長により、年間収益が1株当たり1.95ドルから2.35ドルになると予想していますが、アップスタートは未だに40という驚異的な株価収益率(forward price-to-earnings ratio)で取引されています。

しかし、これは将来の収益を先取りしたものです。アナリストは、アップスタートの2021年の売上高は8億ドル強と予想していますが、2025年には売上高が28億ドル近くに膨らみ、1株当たりの利益は3.70ドルになると見ています。

一見、絵空事のように思えるかもしれませんが、手の届かない数字ではありません。トランスユニオン、エクィファクス、エクスペリアン、フェア・アイザックの4社で年間約150億ドル相当のビジネスを行っていますが、特に優れた仕事をしているわけではありません。

アナリストの確かな支持

アップスタートの株価は10月のピークから下落し続けていますが、アナリストは強気の価格目標を変えていません。

1月21日の終値では、アップスタートの株価は92.72ドルでした。これは、昨年の最高値であった400ドル強の価格の4分の1程度です。そして、現在のアナリストのコンセンサス目標価格である255.30ドルの半分以下でもあります。

アナリストの見解では、同社のストーリーをより多くの投資家に理解してもらい、受け入れてもらうことができれば、この株は175%のアップサイドを持つことになります。

フィンテックであり、ミームストックでもある

なぜ常識的な水準から大きくかけ離れた株価になってしまうのか。アップスタートの場合、2つの要因が不利に働いています。

まず、同社はフィンテック企業であり、フィンテック銘柄は最近、グループとして過熱感が非常に増したり、非常に冷めたりを繰り返しています。これは珍しいことではありません。同じセクターや業界内の銘柄の多くは、個々の企業の業績の良し悪しに関係なく、ある程度同期して動くことが多いものです。

ブロック(SQ)やペイパル(PYPL)のようなフィンテック企業はここ数ヶ月で人気がなくなり、アップスタートもそれに引きずられて下がっています。

このグループのリスクが大きいと見られている限り、アップスタートの株は回復に苦労すると思われます。しかし、その一方で、フィンテックが再び注目を集めるようになれば、アップスタートがそのラリーを容易にリードできることが期待できます。

第二に、アップスタートはミームストックのようなものになっており、人為的に株価を操作しようとするトレーダーのターゲットになっています。その変動は、ゲームストップやAMCのようなミームストックほど大きくはありませんでした。しかし、これらのトレーダーは株価に圧力をかけており、長期的に保有するには難しい種類のボラティリティーを生み出しています。

 


アップスタートの株価は下がり続けていますが、この下げトレンドが永遠に続くと心配する必要はありません。時間が経てば、基礎となるビジネスのストーリーが広がり、同社は成長を続けることが期待できます。

ミームストックのトレーダーも、時間が経つにつれ、協調的な取り組みの影響力が弱まり、興味を失っていきます。

長期的な投資家で保有に専念できる人(短期的な変動を無視できる人)にとっては、アップスタートの過去数ヶ月間のプルバックは、大きな成長の可能性を秘めた銘柄への素晴らしいエントリーポイントになっています。

*過去記事はこちら アップスタート UPST

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