エヌビディア(NVDA)については10月にこんな記事をアップしました。
「エヌビディアは2025年に1兆ドル企業に成れるのか?」
2025年までに1兆ドルの時価総額に達する可能性は高いなんていう内容の記事でしたが、今や、1兆ドル規模の株になれるかの問題ではなく、いつになるかの問題になっています。
今年、株価が150%上昇したことで、時価総額は8500億ドル弱となった時期もあり、1兆ドルの評価にほぼ手が届くようになりました。
ここから先、どのような成長が期待できるか、改めて見てみたいと思います。
エヌビディアは、グラフィックカードやグラフィックプロセッシングユニット(GPU)でよく知られています。GPUは、処理能力の高い没入型ビデオゲームを可能にし、エヌビディアのビジネスの中心であり、第3四半期の総売上高の45%を占めています。
ゲームは今後もエヌビディアの主要部門であり続けることが予想されます。。まず、パンデミック中にビデオゲームを始める人が増えました。家庭外での娯楽の機会が増えれば、コントローラーを手放す人もいるでしょうが、多くの人はゲームを続けると思われます。
Mordor Intelligenceは、ミレニアル世代のゲーミフィケーションがゲーマーのための仮想世界の導入に影響を与えていることを挙げ、ゲーミングGPU市場は2026年まで年平均14%で成長すると予測しています。
これは、ディスクリートのゲーミングGPU市場ですでに83%のシェアを持つエヌビディアが、その売上成長率がこのままのペースであれば、このセグメントだけで年間200億ドルもの売上を生み出す可能性を示唆しています。
エヌビディアはまた、ゲームをより良く、より没入感のあるものにするためにAIを活用しています。深層学習スーパーサンプリング(DLSS)技術は、AIを使って低解像度の画像を高解像度に拡大し、高解像度のスクリーンに表示するものです。
さらに、まだ始まったばかりではありますが、急速に成長しているeスポーツ産業や、クラウドゲーミングサービス「GeForce Now」の成長も加わり、この分野は今後も拡大の可能性を秘めています。
エヌビディアの最大の特徴は、ゲームが最大のビジネスチャンスではないということです。エヌビディアは、人工知能、データセンター、自動車などの分野にも手を広げており、これらはいずれも非常に大きな可能性を秘めています。
例えば、データセンター用の半導体は、エヌビディアにとってすでに年間数十億ドルの売上をもたらしており、第3四半期のセグメントの売上は前年同期比55%増の29億ドルに達し、2025年までに同社にとって最大のセグメントに成長することが見込まれています。
昨年、70億ドルを投じてMellanoxを買収したことで、エヌビディアはネットワークハードウェアの主要サプライヤーとしての地位を確立しました。
エヌビディアは、サイバーセキュリティ・データ保護の分野でもAIを活用しています。エヌビディアは、MorpheusフレームワークとゼロトラストBlueFieldブランドのデータプロセッシングユニット(DPU)を組み合わせることで、ネットワークがローカル、クラウド、ハイブリッド環境のいずれにあっても、独自の保護レベルを提供します。
ゼロトラスト・プラットフォームでは、すべてのユーザーがアプリケーションやデータにアクセスする前に、認証、許可、検証を受ける必要があります。
これだけでありません。エヌビディアの自律走行車向けプラットフォーム「Drive AV」や、初のリアルタイム3Dシミュレーションとコラボレーションのプラットフォーム「オムニバース」など、将来有望なセグメントは他にも目白押しです。
暗号通貨市場も、エヌビディアの処理能力を活用しています。エヌビディア CMP HX(CMPはcrypto mining processorの略)は、プロの暗号マイニング用途向けの専用GPUで、ビデオ出力は余計な機能なので付いていません。また、コア電圧と周波数のピーク値を下げることで、マイニングの電力効率を向上させています。
このように、現金化のチャンスはたくさんあります。アナリストたちもそう考えており、最近、エヌビディアの予測をアップグレードし、2021年の165億ドルから2026年には594億ドルまで売上を伸ばし、年複利成長率は29%以上になると予想しています。収益はさらに加速し、年率約42%で1株当たり13ドルになると予想されています。
現在、エヌビディアの株価は決して安くはなく、売上高の35倍となっています。この倍率を維持すれば、時価総額は来年中に1兆ドルの大台を超えることになりますが、この倍率を半分にしても、大台に到達するのは5年後となります。
つまり、エヌビディアの時価総額が1兆ドルになることは明らかであり、あとは時間の問題ということです。投資家が考えるべき本当の問題は、同社が2兆ドル企業になるのはいつなのか、ということなのかもしれません。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA