感謝祭休暇の週に米国の株式市場は不安定になり、それがウォールストリートに亀裂を生じさせています。いくつかの主要なベンチマークはよく持ちこたえていますが、ナスダック総合株価指数(^IXIC)は2日連続でかなり急激に下げています。11月23日の正午(米国東部時間)前には、ナスダックは1%以上の下落となり、2日間の下落幅は350ポイント以上に達しました。
ナスダックでは、ここ数年好調な業績を上げている新進気鋭の高成長企業の多くが大きな圧力を受けており、個別の基本的なニュースとは比例しないような大幅な下落を見せています。
しかし、これらの銘柄の投資家は、これらの銘柄がいかに不安定で大きなリターンをもたらすかを身をもって体験しているので、これらの銘柄が経験する必然的なプルバックもまた、その大きさに胸が張り裂けそうになるのは当然のことです。
しかし、高成長を続けるナスダック銘柄の強気の相場がついに終わってしまったのではないかと思うのも人間の性(さが)です。
ナスダックの有望企業の多くは、23日に株価がエアポケットに入ってしまいました。22日の午後に発表した決算のあとでズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)の株は18%下落し、2020年前半以来初めて1株あたり200ドルの大台を割り込みました。ズームは現在、史上最高値から60%以上も下落しています。
企業に直接影響を与えるニュースがなくても、高成長を続けてきた他社の多くもかなりの打撃を受けました。
サイバーセキュリティに特化したクラウドストライク・ホールディングス(CRWD)は、23日の朝に5%以上の下落を記録し、過去1ヶ月間の損失は20%近くに達しました。
フィンテックディスラプターのアップスタート・ホールディングス(UPST)は約8%の下落で、10月下旬から43%の下落となりました。
デリバリー専門のドアダッシュ(DASH)は9%の下落となり、過去2週間の上昇分をすべて戻してしまいました。
インタラクティブ・フィットネスのペロトン・インタラクティブ(PTON)はさらに6%下落し、1年半前の最高値から75%以上も下落して1年半ぶりの安値を記録しています。
クラウド専門のデジタルオーシャン(DOCN)が6%下落し、データドック(DDOG)が3%下降するなど、これまでよく持ちこたえてきた銘柄でも、負け組リストに入ってきています。
高成長株への投資の難しさは、投資家が強気相場の終焉を判断するのが常に難しいことです。短期間で100%、200%、500%のリターンを上げている銘柄では、30%、40%、50%の戻しがあっても、長期的な上昇トレンドの中では単なる調整に過ぎません。このようなプルバックの後に、より大きな下落が来ると考えて売り抜けることは、しばしば最悪の行動となることがあります。
また、現在の高成長株のボラティリティーの高さは、誰もが驚くべきものではありません。高成長株は、その性質上、市場の大きな変動の影響を受けやすく、潜在的な可能性のほとんどが将来にあるため、不確実性が高いのです。そのため、手痛い損失を被ることもありますが、過去1年半の間に高成長株の多くが大きな利益を上げてきたのもそのためです。
長期投資家にとって賢明なのは、自分が保有している株式の企業の事業見通しにしっかりと目を向けることです。一部の企業では、ファンダメンタルズに課題があり、投資対象としての魅力が低下している場合があります。そのような場合は、売却を検討することが正しい行動となります。
しかし、多くの場合、株価の動きはノイズであり、有望なビジネスを生み出す基本的な要因とはあまり関係がありません。雑音を排除し、ビジネスの成功に集中することができれば、長期的な投資パフォーマンスが向上する可能性が高くなります。