アップスタート 株価下落の理由と本質的なリスク

アップスタート(UPST)の先週の動きは非常に激しいものでした。第3四半期決算が11月9日のマーケット終了後に発表されるとその直後の時間外取引から大きく下落。翌日10日は20%近く下落する場面もあり、その余波は11日も続き3%下落しました。ようやく12日の金曜日に反転、7%上がりましたが、300ドルを超えていた決算発表前の水準からは大きく下がったままです。

決算の内容はかなり素晴らしいものでした。売上は250%増加し、ローン組成は348%増加し、経営陣は2021年の残りの期間のガイダンスを引き上げました。

しかし、アップスタートの指標とガイダンスのすべてが予想を上回ったにもかかわらず、株価は2桁の下落となりました。

この反応は、次の四半期に予想される利益率の若干の低下によるものだと推測する人もいれば、調整後のEBITDAが当初、実際よりも3,000万ドル低いと誤って報告されたことに影響を受けたのだと言う人もいます。

個人的には、この報告書が発表された時点で600%以上も上昇していた株価の高さが原因だと考えています。理由が何であれ、これはあくまで短期的な株価の動きであり、この会社の事業の長期的な見通しを心配していません。

アップスタートは、2021年初頭に買収した旧プロディジーの自動車ローンサービスを10月6日に開始し、すでに47州で4,000件の自動車ローンを実現しています。

自動車ローン市場は個人ローン市場の6倍の規模があるため、アップスタートの事業のこの部分は、今後5年間で天文学的な成長が見込まれています。

しかし、欠点は、短期的には貢献利益率(アップスタートのバージョンの粗利益率)が減少することです。自動車のスケールアップに伴い、第3四半期の貢献利益率は54%から46%に減少しました。また、自動車の台数が引き続き増加しているため、この傾向は続くと予想されます。

経営陣はそれだけに留まらず、少額ローン商品の開発に着手する計画を発表しました。アップスタートはすべてのローンに対して連邦政府が実施している上限金利36%に従った銀行対応の商品でこの融資を提供します。

これは、これまで略奪的な利子を利用者に要求していた給料日貸し業界にとって非常に破壊的な商品であり、そうでなければ有害な負債サイクルに陥っていたかもしれない何百万人もの借り手に現実的な解決策を提供します。

この商品は、大規模な融資ほどの利益を生まないかもしれませんが、消費者とアップスタートを結びつけ(将来の大規模な融資のためのプロファイルの構築を可能にする)、同社のアルゴリズムに訓練と改善のためのデータを与えることになります。

電話会議の議事録の記事では言及しなかったのですが、質疑応答の中で、ジルーアードCEOは、第3四半期に不正なローン申請が大幅に増加したことを認めました。その発見と対処に成功し、実害はなかったそうですが、不正行為はアップスタートのアルゴリズムを誤認させる可能性のある具体的な脅威であり、経営陣は、不正行為の追跡と防止に引き続き時間と資本を費やすことが期待されます。

アップスタートのより本質的なリスクは二つあります。まず、アップスタートはまだ金融不況を経験していませんが、これは金融会社、特に融資を行う会社にとって重要なマイルストーンとなることがよくあります。

今は、貸すのが簡単で、人々がローンを返済するのも簡単です。しかし、経済が落ち込むと、アップスタートのアルゴリズムがどれだけ優れているかを見極める真のテストとなります。

第二に、同社には大きな顧客集中があります。2020年末の時点で、1つの顧客が全ローン量の67%を占めていました。その後、着実に減少しており、第3四半期にはそのパートナーが占める比率は58%まで低下しました。

これは、アップスタートが顧客数を急速に増やしていることが原因と思われます。アップスタートは、前年の10社に対し、第3四半期には31社のレンディングパートナーを有しています。このようなパートナーの増加により、売上の多様化が進み、最大の顧客がアップスタートの総取引量に占める割合はさらに少なくなると思われます。

10日の暴落を報じる記事の中でモトリーフールがこのように表現していました。

「投資は、疾走ではなく、マラソンです。アップスタートの投資家が数年後に振り返ったとき、今日の下落はおそらく道の上のたんこぶに過ぎないと思われるでしょう。」

全く同感です。

*過去記事はこちら「アップスタート UPST

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