モトリーフールに2035年の時価総額トップ10を予測するという、ちょっとしたお遊びの記事が掲載されていました。たぶん、これが正確に当たることはないでしょうが、こんな銘柄がいま有力視されているという参考にはなるかと思いますので、ご紹介します。
10位 エアビーアンドビー(ABNB) 現在の時価総額:1,276億ドル
エアビーアンドビーは、このリストの中で最も小さな銘柄であり、2035年のトップ10に入るためには、おそらく少なくとも30倍の値上がりをしなければなりません。
このリストの作者がエアビーアンドビーを選択したのは、エアビーアンドビーが本当に巨大な市場を狙っているからだそうです。同社はアドレス可能な市場全体を3.4兆ドルと見積もっています。大規模なソフトウェア企業と言えども、そのほとんどが狙っているのは、はるかに小さな市場機会です。
エアビーアンドビーはテクノロジーを売っているのではありません。テクノロジーを使って消費者が世界中のどこにでも訪問・滞在できるようにしています。エアビーアンドビーは私たちの旅行方法に革命を起こしています。そして、ネットワーク効果により、他のハイテク企業はエアビーアンドビーをその特等席から追い出すことはできないと作者は述べています。
9位 テスラ(TSLA) 現在の時価総額:1.23兆ドル
テスラはすでに時価総額のトップ10入りを果たしています。ですから問題は、今後10年半の間にトップ10入りできるかどうかではなく、そこに留まることができるかどうかです。そしてリスト制作者が留まることができると見る理由は、21世紀の最も重要なイノベーションのひとつである電気自動車において、圧倒的なマインドシェアを持っているからです。
かつて隆盛を誇った石油関連銘柄、エクソンモービルとBPといった会社は現在のトップ10からは消えてしまいましたが、テスラは生き残り、成功すると作者は見ています。
8位 シー・リミテッド(SE) 現在の時価総額:1,976億ドル
このリストの作者は、15年後もアメリカ企業が世界経済を支配していると考えています。一方、中国株には悲観的です。それは、中国の独裁政権が株式にとって大きなリスクになっているからです。作者は、アジアで生き残り、成功する企業として、シンガポールを拠点とするシー・リミテッドをあげています。
シーには、猛烈な成長意欲があります。2017年の新規株式公開以来、株価は20倍になりました。シーは、モバイルゲームにおけるフリーミアムモデルと、スマートフォン向けのNo.1ゲーム「フリー・ファイア」で業界をリードしてきました。
新しい市場でゲームの足場を確立した後、シーはショッピングプラットフォーム「ショッピー」と、決済部門「シーマネー」を導入します。シーはアジア市場だけでなく、南米やインドでも勝者として台頭しています。
これは、新興市場における美しいハイテク株です。そして、シーはおそらく世界で唯一、アマゾン(AMZN)に一泡吹かせることができるインターネット企業だと作者は見ています。
7位 アップル(AAPL) 現在の時価総額:2.48兆ドル
今後10年の間にアップルがトップ10の座を失ったとしても、全く驚かないとリストの作者は書いています。アップルはApp Storeとソフトウェア会社へのアクセス料で大金を稼いでいますが、20年前にマイクロソフトが経験したのと同様に、アップルはそのビジネスモデルに関して深刻な反トラスト法上の監視を受けるようになる可能性が高いことがトップ10の座を脅かすことにつながると作者は見ています。
しかし、作者はアップルとその消費者向けハードウェアの優位性に強気です。同社のブランド力は他の追随を許さないとしています。そして、もしティム・クックCEOが仮想現実や拡張現実の重要性について半分でも正しく認識しているのであれば、アップルは将来的にトップ10の地位を確固たるものにするだろうし、それ以上のものになるだろうと見ています。
6位 スクエア(SQ) 現在の時価総額:1,095億ドル
フィンテック革命は初期段階にあり、スクエアは間違いなく暗号化の波に乗っているとリストの作者の見ています。
そして、同社は銀行業界にも革命を起こしているとしています。スクエアは、従来の銀行よりも情報面で大きなアドバンテージを持っており、同社は、ネットワーク内のすべての企業に関して、非常に多くのデータポイントを持ってていることをその強みにあげています。
スクエアは、ユーザーの会社の販売数にもアクセスでき、そのユーザーに融資をする際のリスクを簡単かつ迅速に測ることができます。このように、従来の銀行よりもスピードと正確さで優位に立つことで、スクエアは今後10年半の間に最大の金融株となると見ています。
5位 ウェイモ 現在の時価総額:不明
このトップ10リストの作者は、ある時点でアルファベット(GOOGL)が自律走行車部門をスピンアウトさせ、ウェイモがその親会社を超えて躍進すると考えています。
ウェイモには、ゼネラルモーターズの一部門であるクルーズや、テスラなどの競合他社が存在するかもしれませんが、作者はグーグルのAI能力が勝利を収めると信じているそうです。
そして作者は、本当の競争相手は陸からではなく、空からかもしれないと考えています。ウーバー、トヨタ、米空軍などが協力している電動エアタクシーサービス「Joby Aviation」は、交通機関を地上から空に変えることで、最終的にウェイモに一泡吹かせるかもしれないと見ているそうです。
4位 ショッピファイ(SHOP) 現在の時価総額:1,919億ドル
ショッピファイは、世界で最も重要なソフトウェア企業と言っても過言ではないと作者は見ています。同社はインターネット商取引の代名詞であり、中小企業の経営者に強大なアマゾンに対抗する手段と能力を与えています。ショッピファイの株価は、IPO以来、6年間で約6,000%も上昇するという、とんでもないことになっています。
この劇的な上昇が続くのは、ショッピファイの市場機会があまりにも巨大だからだと作者は言います。小売業の市場規模は現在25兆ドルほど。ますます多くのショッピングがオンラインに移行し、ショッピファイはそれを実現する技術的なエンジンとなると作者は予想しており、ショッピファイが市場規模でアマゾンを追い抜く日が来るかもしれないと見ています。
3位 エヌビディア(NVDA) 現在の時価総額:7,414億ドル
エヌビディアはまだ1兆ドルクラブには入っていませんが、この半導体メーカーはすでに世界の10大企業の1つです。同社の半導体は、ゲーム、モバイル、自動車の各市場ですでに重要な役割を果たしています。しかし、株価が成層圏に突入したのは、同社が人工知能用のコンピュータチップに進出したからだとリストの作者は書いています。
2位 スペースX 現在の時価総額:不明
イーロン・マスクの宇宙旅行会社スペースXはまだ非公開ですが、最新の資金調達ラウンドでは1,000億ドルの評価を受けました。
現在、同社は「スターリンク」と「スターシップ」という2つの大きなプロジェクトを抱えています。マスク氏がスターリンクを独立させる可能性は十分にあります。同氏は、スターリンクのキャッシュフローがより予測可能になった時点でスピンアウトすると述べています。
昨年の技術会議でマスク氏は、人工衛星を宇宙に打ち上げることによる市場機会を年間30億ドルと見積もっていましたが、ブロードバンドインターネットを提供することで、さらに300億ドルの年間売上を得られるかもしれません。
リストの作者はスペースXが宇宙開発競争を支配しているように見えるとし、もしこの会社が上場したら、とんでもない評価を受けると思うと書いています。アップサイドは本当に無限だというのが作者の評価です。
1位 アマゾン(AMZN) 現在の時価総額:1.79兆ドル
このトップ10リストの作者は、アマゾンが決して盤石の立場を築いておらず、Eコマースでは、ショッピファイを利用した多くの個人商店との競争にさらされていること、クラウド・サービスでは、大手のアルファベットやマイクロソフトとクラウドのパイを分け合っていることなどを例としてあげています(作者によれば、クラウドで真の競争相手となるのは、安価で顧客に優しいクラウドサービスを提供して大人気のデジタルオーシャンだということです)。
それでも、アマゾンは適応して克服し、今後ますます多くの収益源を見つけていくと作者は見ており、アップル以外では、今回のリストの中で最も強力な消費者ブランドと評しています。
アマゾンには強力なマインドシェアがあり、その市場は非常に大きいため、独占禁止法による監視を受ける可能性はほとんどないと作者は言います。この企業は、おそらく世界のどの企業よりも多くの選択肢を持っており、だからこそ、アマゾンを2035年のNo.1株として選んだということです。