冷蔵庫の中でインターネットを見ることができようになっている現在、半導体は多くの産業で最も重要な製造部品となっています。しかし、パンデミックの影響で世界的に半導体が不足し、自動車のような高額商品を含む多くの消費財の生産ができなくなりました。そのため、半導体の価格は大幅に上昇しており、大手自動車メーカーは2022年までこの状況が続くと予測しています。
半導体の供給不足は、すでに急成長を遂げている半導体サービス企業のコヒュー(COHU)にとってチャンスとなります。ローゼンブラット証券は、コヒューの株価が現在のレベルから97%上昇する可能性があると考えています。
コヒューは、半導体試験検査ハンドラー、MEMS(微小電気機械システム)試験モジュール、半導体メーカーや試験委託先が使用する試験コンタクター、熱サブシステムのサプライヤーである。半導体ATE(自動試験装置)、半導体ハンドラー、ならびに試験コンタクター、プローブヘッドやプローブピンなどのインターフェース製品、スペアおよびキット、ベアボードPCBテストシステムなどの製品およびサービスを提供する。半導体テストおよび検査装置、PCBテスト装置の2報告部門からなる。半導体テストおよび検査装置部門から収益の大半を得ている。
出所:マネックス証券銘柄スカウター
企業URL | https://www.cohu.com |
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半導体の供給制約は消費者の財布を直撃していますが、そのおかげで半導体メーカーは高価格を実現し、利益率を高めることができています。市場はこの状況に反応し、iシェアーズ・セミコンダクターETFは今年69%上昇、5年間の平均リターンである年率38%をはるかに上回っています。
半導体製造メーカーは、制約を緩和し、増大する需要に対応するために、生産能力を拡大している最中であり、コヒューはこの点で利益を得ることができます。
コヒューは、重要な半導体試験装置やハンドリング装置に加えて、メーカー向けのトレーニングや教育サービスを提供しており、半導体業界において重要な役割を果たしています。
自動車産業は、消費者に最も大きな経済的影響を与えていることから、半導体産業全体にとって今最も注目されている分野です。ミシガン大学が実施した最新の消費者意識調査によると、自動車を購入するのに適した時期であると考えている消費者はわずか38%で、過去12ヶ月間で最も低い数値となっています。
これは、トヨタ、フォード、フォルクスワーゲンなどの主要ブランドが新車の生産台数を減らしているためで、特に必要な半導体が手に入らないことが原因となっています。その結果、米国のディーラーでは新車の在庫が激減し、80%も減少したケースもあります。代わりに中古車市場が活況で、中古車価格が高騰しています。
コヒューの自動車関連事業は、半導体業界全体の流れに沿って、売上高の18%を占めるまでに成長し、同社最大の事業となりました。2021年には、この分野の半導体市場規模は500億ドルを超えると予想されており、コヒューの戦略的転換は大きな成果をもたらします。
コヒューは、2016年以降、年複利で26%という立派な収益成長を遂げており、銀行並みの営業実績を誇っています。さらに今年は半導体不足のおかげで、顧客が同社の機器やサービスを競って購入していることから、より大きな成長が見込まれます。
コヒューは、自動車関連に特化した検査・ハンドリング機器のラインアップが新規顧客を獲得し続けていることが、このトレンド以上の成長につながっているとしています。
その中でも、同社の検査装置「Neon」がその牽引役となっています。この装置は、自動車に多く見られる0.2mm~0.4mmの半導体を、欠陥検出や効率性を損なうことなく、非常に高速で検査・処理することができます。
しかし、コヒューのこの目覚ましい成長は、2017年以降、収益面では現れていません。同社は2018年から2020年にかけて、今日のような成長を促すために事業に投資していたため、赤字を出していました。
同社は今年、黒字に転換する予定で、すでに上半期に1.79ドルの調整後1株当たり利益を出しています。アナリストは、この利益が通期で3.05ドルになると予想しています。
コヒューの株式は、今年の予想一株当たり利益3.05ドルと現在の株価33ドルを用いた場合、株価収益率(フォワード)はわずか11倍となっています。
これに対し、iシェアーズ・セミコンダクターETFは35倍以上となっているため、コヒューの株式が同業他社と同じような評価を受けるためには株価が3倍以上になる必要があります。
好調な状況は2021年に止まりません。アナリストたちは、2022年には少なくとも3ドルの1株当たり利益が得られると予想していますが、大手自動車メーカーの中には、半導体の不足が年明けまで続くと予想しているところもあるため、これには多少の上乗せがあるかもしれません。
長期的には、コヒューが業界の中でより重要な位置を占めるようになる可能性があります。というのも、供給上の制約が解消された後も、消費財は将来的に高度なコンピュータ処理能力を求める傾向が強まるからです。
また、米国政府は、半導体製造施設を国内に建設する企業を増やすことに力を入れています。現在、コヒューの売上の大部分はアジアで生まれていますが、米国おける製造能力が増強されると、コヒューにはホームフィールド・アドバンテージがあります。
ローゼンブラット証券が提示した65ドルという目標価格は、長期的な投資家にとっては保守的なものだったと振り返って考える時代が近い将来やって来るかもしれません。