米国防総省が破棄したJEDI契約について

米国防総省は今週、100億ドル規模のクラウドコンピューティングプロジェクト「JEDI」を中止し、トランプ大統領時代のマイクロソフト社への発注を取り消し、ライバルのアマゾン・ドット・コム社や他のクラウド事業者が参加すると予想される新たな契約を発表しました。

この件についてはすでに「アマゾン 米国防総省がマイクロソフトに発注済の100億ドルの契約を破棄」でお伝えしましたが、今後いろんな場面で新たな契約に関する話が出てくることが予想されますので、改めて事実関係を整理したいと思います。

JEDI契約とは?

JEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure)は、国防総省のために大規模で共通の商用クラウドを構築するIT近代化プロジェクトでした。国防総省の多くのプログラムのデータは、個別のシステムに隔離されたままで、標的や物流データなどの情報を簡単に共有することができません。国防総省をクラウドに移行することで、戦争をより簡単に、よりシームレスに行うことを目的としていました。

なぜ破棄されたのか?

トランプ政権は、JEDIで定められた国防総省のクラウドコンピューティングのプロバイダーを1社にしたいと考えていましたが、バイデン政権はJEDIを中止し、複数の企業にプロジェクトを分散させることにしました。

このような動きは、民間企業がクラウドコンピューティングの仕事を複数のベンダーに分割して、特定のベンダーに拘束されることを避けているのと同じ動きです。軍も民間と同じやり方をするということです。

JEDI契約に代わるものは?

米国防総省は、2022年4月までにJWCC(Joint Warfighter Cloud Capability)の最初の契約を締結したいと考えています。JWCCは、複数のベンダーによる、最長5年間のクラウド契約です。マイクロソフトとアマゾンが直接受注する可能性が高いと見られます。

JWCC契約から利益を得られそうな他の企業は?

他のトップクラウド企業には、オラクル、グーグル、IBMなどがあります。グーグルとIBMは、連邦政府との協力に興味があるとしながらも、入札を行うかどうかについては言及していません。

米国防総省は、マイクロソフトとアマゾン以外の企業を歓迎していますが、データセキュリティを中心としたある一定の要件を満たす必要があるとしています。

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