ロク(ROKU)のアクティブアカウントとストリーミング時間は、コロナウイルスのパンデミックの中で2020年に爆発的に増加しましたが、その勢いは2021年も続いているようです。
5月に発表された第1四半期の決算報告の中の株主への手紙の中で、経営陣は 「アクティブアカウントとストリーミング時間の両方の純増数がCOVID-19以前の水準を上回ると予想している 」と書いています。また経営陣は、アカウントあたりのストリーミング時間が2020年よりも増加すると予想しています。
同社の継続的な成長に経営陣が自信を持つのは、次の3つの理由によると考えられます。
新しいストリーミングサービス
2019年末から2020年にかけて、いくつかの注目のストリーミングサービスが市場に参入しました。コムキャストの「ピーコック」やAT&Tの「HBO Max」が実際にロクのデバイスに登場したのは昨年末のことです。
ディスカバリーDiscoveryは今年の初めに「Discovery+」を開始しており、「CNN+」のストリーミングサービスも登場する可能性があります。
この夏、ピーコックは大量のオリンピック・コンテンツを配信する予定で、これにより人気が高まり、より多くのユーザーがロク・デバイスに集まる可能性があります(6月の時点では、ピーコックはまだAmazon Fire TVとの契約を結んでいません)。
一般的に言って、メディア企業は消費者に直接提供するストリーミングを採用し、コネクテッドTVプラットフォームでより多くのコンテンツを利用できるようにしています。また、ロクは、ロク・チャンネルのコンテンツに投資しています。これまで以上に多くのコンテンツが配信されることで、ユーザーのエンゲージメントが高まることが期待されます。
国際的な成長
ロクは、米国ではすでに最も人気のあるコネクテッドTVプラットフォームですが、国際的な展開はまだ始まったばかりです。経営陣は、海外市場でも国内と同様に、まずユーザーベースを拡大し、次にエンゲージメントを向上させ、そしてマネタイズを改善するという手順を踏んでいます。
今のところ、それはうまくいっています。最初に進出した海外市場の1つであるカナダでは、スマートテレビのプラットフォームとしてすでにNo.1となっています。メキシコでは第2位で、スマートテレビOSのライセンス数もトップです。
ロクには、海外市場でのさらなる強みがあります。これらの市場の視聴者は、サブスクリプションサービスよりも、広告でサポートされたコンテンツに興味を持つ傾向があります。このことは、ロクにとって大きな強みとなっており、「The Roku Channel」はロクにさらなる優位性をもたらしています。このストリーミングサービスは、現在、米国だけでなく、カナダ、英国でも提供されています。
イギリスやブラジルなどの国際市場での地位を確立しつつあるロクは、アカウント数を大きく伸ばすことができると見られます。
メディアの消費パターンの変化
ロクは、すべてのテレビがストリーミングメディアになるという前提で運営されています。eMarketerの推計によると、2020年にアメリカ人が従来のテレビを視聴する時間は、1日平均3.5時間。アナリストは、今年のテレビ視聴時間は1日あたり16分減少し、そのうちの約半分がロクのようなコネクテッドデバイスやプラットフォームでのメディア消費にシフトすると予想しています。
従来のテレビ視聴の減少には、2つの要因があります。1つ目は、ケーブルテレビの加入者が、リニアテレビの視聴から、より多くのオンデマンド・ストリーミングコンテンツの視聴へとシフトしていること。2つ目は、より重要なことですが、コードカットが2021年に加速する方向にあり、この傾向は今後の10年間続くと予測されています。これらの傾向が相まって、視聴者は従来のテレビからストリーミング番組へと持続的にシフトしていくはずです。
また、2021年の米国の視聴者は、昨年のようなパンデミックや大統領選挙といった話題がないため、ニュース番組への関心は低く、ストリーミングでの視聴に最適なエンターテインメントへの関心が高いと考えられます。これにより、ロク・ユーザーのエンゲージメントは向上するはずで、ストリーミングの選択肢が増えることを考慮すると、ロクの平均エンゲージメントは2020年に比べて上昇すると予想されます。2021年は、国際的な成長の可能性も加わって、ロクのユーザー数とエンゲージメントが急速に増加する年になるはずです。