半導体不足により大幅上昇が見込める2銘柄

  • 2021年5月30日
  • 2021年5月30日
  • BS余話

現在、世界の企業の大きな悩みのひとつが半導体不足です。影響は、自動車、工業、エレクトロニクスなど幅広い分野に及んでいます。

ソニーやマイクロソフトの新型ゲーム機は、発売から半年経っても入手困難な状態が続いており、自動車メーカーは何ヶ月も前から工場の閉鎖を余儀なくされています。

Sentieo社のデータによると、過去2カ月間に米国の275の公開企業のイベント(主に決算説明会)で、半導体不足について言及されたそうで、2020年全体でわずか1回であったことを考えると、いかにこの問題が多くの企業を苦しめているかが、わかります。

日本のバブル時代に起こった「トイレットペーパー騒動」を想起させる事態に、米国政府も問題解決に動き出していますが、投資に力を入れても一朝一夕に解決する問題ではなく、半導体不足の状況はここしばらくは続くことが予想されます。

そんな状況下、恩恵を受ける企業として注目されているのが、半導体メーカーの設備投資増強によって受注が大幅に増えると予想される半導体装置メーカーです。

最も大きな恩恵を受けると目されているのが、オランダのASMLホールディング(ASML)で、半導体製造工程で不可欠の露光装置の最大手である同社は、最先端の5ナノ半導体用EUV露光装置を供給できる唯一のメーカーです。しかし、同社の人気はすでに膨れ上がっており、株価は利益の45倍という高値で取引されています。

もっと手頃な選択肢として注目を集めているのが、アプライド・マテリアルズ(AMAT)とラムリサーチ(LRCX)の2社。両銘柄とも、今後12カ月間の業績予想の約20倍で取引されています。これは、S&P 500指数の22倍やPHLX半導体指数の平均倍率23倍を下回っている数値です。

コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのセリグマン・テクノロジー・グループのリード・ポートフォリオ・マネージャーであるポール・ウィック氏は、「これらの企業は本当に収益性の高いビジネスで、大きな堀(moats)を持っており、顧客がサプライヤーを頻繁に変更することがないことから、総利益率は上昇すると思う」と述べています。

ラムリサーチは、同氏が運用する100億ドル規模のコロンビア・セリグマン・コミュニケーション&インフォメーション・ファンド(SLMCX)の最大の保有銘柄であり、アプライド・マテリアルズは第4位です。

同氏は、大手半導体メーカーの目を見張るような拡張計画を考えると、投資家は両社の価格決定力を過小評価している可能性があると考えています。

インテル(INTC)は、ニューメキシコ州のチップパッケージング施設への35億ドルの投資に加えて、アリゾナ州の2つの新工場に200億ドルの投資を計画しています。サムスン電子は、今後10年間でファウンドリーとチップデザイン事業に1160億ドルを投資するとしており、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)は、今後3年間で1,000億ドルを投じて半導体生産能力を高める計画です。

アプライド ・マテリアルズは、大手半導体メーカー3社すべてを同社の製造装置の顧客としています。同社の会計年度第2四半期の売上高は56億ドルで、41%増と2017年以来の高い成長率を記録しました。通年では226億ドルの売上に対して57億ドルの利益を計上すると予測されています。

アプライドの株価は今年60%上昇し、直近では137.82ドルとなっています。アナリストたちは、同社の成長に追いつこうと競っており、10月に終了する今年度の1株当たり利益の予想を6.56ドルに引き上げています。平均目標株価は163ドルで、現在の水準からさらに18%の上昇の余地があることを示しています。

ライバルのラム・リサーチは、サンフランシスコ湾を挟んでアプライド・マテリアルズの対岸に位置し、メモリメーカーのマイクロン・テクノロジー社(MU)やSKハイニックス社への装置販売が売上の大部分を占めています。また、同社のプロセッサー製造事業は、最大手の半導体メーカーの設備拡張計画にも影響を与えています。

ラムリサーチの株価は今年に入ってから37%上昇し、直近では645.70ドルとなっています。アナリストは、6月に終了する会計年度の売上高は44%増、来年はさらに17%増と予想しています。売上は、今年度は68%増の1株当たり26.73ドルとなり、その後、2022年度には22%の成長が見込まれています。ウォール街では、同社の直近の終値より13%高い727ドルを目標株価としています。

半導体不足はいつまで続くのか、現在のところ意見の一致は見られません。インテルのCEOのパット・ゲルシンガー氏は、「科学、直感、期待」と「それに伴う多くの複雑さ」に基づいて、半導体不足があと2年は続くと予想しています。四半期ごとに、現在の状況から改善していくものの、妥当な需給バランスに戻るまでには2年はかかるということです。

*アプライド ・マテリアルズについてはこちらの記事もご参照ください。「AMAT 持続的成長が見込める半導体業界の優良企業

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