「エヌビディア 第1四半期決算を発表」でお伝えしたエヌビディア(NVDA)の決算内容についてアナリストが評価しています。
エヌビディアをカバーしているアナリストの半数以上が好決算決算に反応して目標株価を引き上げましたが、彼らの大きな関心は、エヌビディアが約3年前に経験した大問題をどのように回避しようとしたかにありました。
それは2018年末に起こった「暗号の二日酔い」(crypto hangovers)と呼ばれている出来事。2018年に暗号通貨の価格が急速に下落すると、暗号通貨のマイナーはすぐにグラフィックスカードを売却しました。安価なカードが市場にあふれてエヌビディアの売上は落ち、多額の在庫を残しました。
この二の舞を避けるために、エヌビディアはいくつかの重要な措置を講じました。
同社は、新しいゲーミングカードの性能を調整して、特にマイナーにとって魅力的ではないものにしました。そして、暗号通貨の採掘のためだけに設計されたチップも発売しました。これは、CMP(クリプトカレンシーマイニングプロセッサ)と呼ばれています。CMPは、第1四半期に1億5,500万ドルの売上を記録し、今期は4億ドルの売上が見込まれています。
レイモンド・ジェームズ社のアナリスト、クリス・カソ氏は、「買い」の評価と目標株価を750ドルとし、「エヌビディアは、データセンターの成長が依然として堅調かということと、暗号通貨関係の収入が持続しないのではないかという2つの大きな懸念に対処した」と述べています。
投資家は、マイニング需要について、売上が持続不可能であること、マイニングが減少すると中古カードが市場にあふれること、持続可能なゲーム需要と周期的なマイニング需要の違いを見分けることができないことなど、いくつかの懸念を抱いていたと同氏は指摘しています。
サスケハナ・フィナンシャルのアナリストであるクリストファー・ローランド氏は、ポジティブな評価をしており、目標株価を700ドルから720ドルに引き上げていますが、エヌビディアの強気派は、データセンターの売上からさらに多くのものを期待しているのではないかと述べています。
データセンター事業は四半期ベースで初めて20億ドルを突破したものの、その数字は強気派が期待したほどではなかったと指摘しています。
「アウトパフォーム」のレーティングを付け、目標株価を675ドルから750ドルに引き上げたエバーコアISIのアナリストC.J.ミューズ氏は、”Walking on Sunshine “と題したノートの中で、今回の結果と見通しがエヌビディアを “THE AI Compute Company “と位置づけるものになっていると述べています。
同氏は、暗号通貨の影響を受けながらもゲーム事業の成長が持続したこと、データセンターの成長を再加速させる道筋がついことに注目が集まっているとし、この目的のために、経営陣は、ゲームとデータセンターの両方の売上が年内に順次増加し、会社全体の売上が増加する見通しを示したことを評価しています。特に重要なのは、CMPの売上が下半期にゼロになったとしても、この見通しが維持されると信じていることだと同氏は述べています。
エヌビディアを担当している42人のアナリストのうち、36人が買いの評価、5人がホールドの評価、1人が売りの評価をしています。そのうち、21人が目標株価を引き上げ、1人が目標株価を引き下げた結果、平均値は698.86ドルとなり、前回の666.91ドルから上昇しました(ファクトセット調べ)。