テラドック 今週の下落の理由

今週に入り、一段と株価が下落したテラドック(TDOC)。160ドルを割るまでに至っていますが、今回の下落は競争が激化する中で、同社が顧客を維持できるかどうかの懸念が高まったことが原因のようです。

事の発端は、5月3日のウォール・ストリート・ジャーナルの記事。ペプシコの元福利厚生部長Erik Sossa氏が、ペプシコがテラドックの利用をやめ、ライバルのライブヘルス・オンラインに切り替えたと述べたことが影響しているようです。

記事の中で同氏は、デジタルヘルスサービスがペプシコの既存のヘルスプランに接続されていないため、医師が患者の健康履歴を確認できないことを切り替えの理由のひとつにあげ、「遠隔医療は素晴らしいメディアですが、深夜の緊急医療に限って言えば、それはコモディティ(商品)のようなものです」と述べています。

カンター・フィッツジェラルド社のアナリスト、スティーブン・ハルパー氏は、医療保険大手のヒューマナ社(HUM)のCEOであるブルース・ブルサード氏も、同社が先週行ったキンドレッド・アット・ホーム社の買収について説明する際に、テレヘルスをコモディティ(商品)と呼んだと、月曜日のメモで述べています。「オフラインの医師の多くがテレヘルスを採用しているが、テラドックのようなベンダーが自社の技術やサービスを差別化するのは難しい」とハルパート氏は述べています。

「支払者やプロバイダーが技術的ソリューションを求め、テラドックのサービスモデルと競合することで、テレヘルスはますますコモディティ化していくだろうという見解を、我々は以前から持っていた」というハルパー氏。

より多くの医師が独自のテレヘルスサービスを提供し始めれば、テラドックのような既存のプレーヤーから市場シェアを獲得できる可能性があるとも指摘しています。

しかし、誰もが弱気になっているわけではありません。クレディ・スイスのアナリストであるJailendra Singh氏は、ペプシコとの契約がなくなったことは昔の話であり、すでに織り込み済みのはずだと5月3日のメモで書いています。

テラドックの経営陣はSingh氏に、ペプシコの会員数は「長い間」削減されてきたと話しており、2020年末までの同社の会員数にはこれらの契約がすでに含まれていない可能性が高いと同氏は書いています。

同氏は、ペプシコの米国内の従業員12万人は、テラドックの米国内の有料会員5,200万人のごく一部であるため、契約の喪失はテラドックにとっては重要ではないと主張。テラドックの経営陣は、同氏に対し、契約維持率は一貫して90%以上であると述べたそうです。

クレディ・スイスの最近の調査によると、回答した企業の81%が、直接契約ではなく医療保険会社を通じて従業員に遠隔医療給付を提供しています。ハルパー氏によれば、ペプシコの動きも同じことをするという決断が背景にあるようです。

契約を失ったにもかかわらず、Singh氏はテラドックが有利な立場にあると考えています。同社は、雇用者との直接契約に関しては、すでに圧倒的な市場シェアを持っていますが、近年では複数の医療保険会社との契約も結んでいます。例えば、先週の決算説明会では、東海岸のBlue Cross Blue Shieldプランとの関係が拡大していることを強調していました。。Singh氏は、テラドックの米国内の有料会員の70%以上が、現在、医療保険会社を通じて契約していると推定しています。

両アナリストとも、最近の暴落を受けて、株価は上昇する余地があると考えています。ハルパー氏は「中立」のレーティングで、目標株価は210ドル。Singh氏は「アウトパフォーム」のレーティングで、目標株価を264ドルに設定しています。

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