好決算を発表したエヌビディア(NVDA)でしたが、発表翌日の2月25日のマーケットでは売り込まれ、前日比8.22%減の532.3ドルで引けています。
ジェフリーズの半導体アナリスト、マーク・リパシス氏は、データセンター部門の売上が前四半期から横ばいであったことと、ゲーム部門の伸びが、暗号資産(仮想通貨)のマイニング需要に支えられたことが不安視されたこと、この2点が株価下落の要因であるとしています。
「データセンター部門が横ばいであったことは、高P/E株にしては失望であり、高い期待に応えられなかった」とリパシス氏は述べ、データセンター部門への供給が過多となり購入が減る調整期間に入ったのではとしています。
同氏によれば、もしそうであれば、そのような調整期間は、エヌビディア株を購入するチャンスであると指摘。例として2018年第4四半期から2019年第1四半期においてエヌビディア株が売り込まれたことをあげ、今から振り返れば、それが絶好の買い場だったとしています。
暗号資産(仮想通貨)のマイニング需要が旺盛なことが投資家に不安視されたのは、過去の苦い経験があるからです。2018年にデジタル通貨の価格が急速に下落すると、マイナーはすぐにグラフィックスカードを売却しました。安価なカードが市場にあふれてエヌビディアの売上は落ち、多額の在庫を残しました。
18年第4四半期までにゲーム部門の売上高は、前四半期の17.6億ドルから9.54億ドルに減少。株価は3ヶ月以内に292ドルから124ドル程度まで下落した、とリパシス氏は書いています。
この苦境を脱するのに1年あまりを要した経験があるため、投資家は二の舞となることを危惧しているわけです。
エヌビディアは先週、CMPと呼ばれる暗号資産(仮想通貨)のマイニング用に設計されたチップを発売することで、悪夢の再現を避けようとしています。
ゲーム用のように高い再販価格がのぞめないため、マイニング業者はCMPを買わないだろうと危惧する声もありますが、エヌビディアのコレット・クレスCFOはマイニング業者と相談した上で発売に踏み切ったとして売れることに自信を示し、第1四半期のCMPの売上高を約5000万ドルと見込んでいます。
ドイツ銀行、ウェドブッシュ証券、サスケハナ・ファイナンシャル・グループもリパシス氏と同様の懸念を表明していますが、一方で、ニーダムはエヌビディアの目標株価を700ドルから800ドルに引き上げ。「人工知能(AI)計算で世界最速といわれるGPUの普及は始まったばかりで、広い分野で需要増が見込める」と指摘しています。
トゥルイスト証券も目標株価を672ドルから700ドルに上方修正。「ゲーム向け需要に警戒感はあるが、AI開発で先行するエヌビディアの株価にはまだ割安感がある」とみています。