先週の米国株5大ニュース 米10年債5%とメタ「ミューズ」、AI相場は第2段階へ

先週の米国株市場は、AI関連株への強い買いと、米国債利回りの上昇やイラン情勢への警戒がぶつかる1週間となりました。

9月21日から25日までの米国市場では、S&P500が週間で1.2%高、ナスダック総合指数が2.1%高、ダウ工業株30種平均が0.3%高となりました。

特に印象的だったのは、米10年債利回りが5%を超えても、AI関連株への資金流入が続いたことです。一方、AI投資の中身を見ると、GPUだけではなく、AIエージェント、クラウド、メモリー、電力、さらには量子コンピューティングまで投資テーマが広がっています。

今回は、9月21日(月)から26日(土)までに本ブログで取り上げたニュースの中から、米国市場を理解するうえで重要だった5つのテーマをランキング形式で振り返ります。

第5位 量子コンピューティングが「研究」から計算インフラへ

先週は量子コンピューティングを巡る動きが相次ぎました。

イオンキュー(IONQ)は、最新量子コンピューター「Superion 256」をエヌビディアの量子研究センターに導入すると発表しました。重要なのは、量子コンピューターだけを単独で使うのではなく、エヌビディア(NVDA)のGPUクラスターと組み合わせる点です。

さらにマイクロソフト(MSFT)とアマゾン(AMZN)も、将来最大8,500億ドル規模になる可能性がある量子コンピューティング市場を見据え、自社技術だけではなく複数の量子方式をクラウドにつなぐ戦略を進めています。

量子コンピューティングがすぐにAI市場を置き換えるわけではありません。しかし、GPU、CPU、QPU、クラウドを組み合わせる次世代の計算基盤という方向性が見え始めました。

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第4位 AI相場は「作る企業」から「使って稼ぐ企業」へ

AI相場では、投資対象の広がりも重要な変化でした。

これまではエヌビディアやブロードコム(AVGO)などAI半導体企業や、データセンター関連企業が中心でした。しかし、モルガン・スタンレーはAIインフラ企業だけでなく、AIを利用して生産性向上やコスト削減につなげる企業にも投資対象を広げる考え方を示しています。

その象徴の1つがマイクロソフトです。Copilotの機能強化を受けて株価が上昇し、市場の関心は「AIにいくら投資するのか」から「AI投資をどこまで収益に変えられるのか」へ移り始めました。

AI相場は終わったのではなく、半導体やデータセンターだけを買う第1段階から、AIを実際の事業に組み込む企業も評価する第2段階へ進み始めています。

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第3位 AIインフラ投資が巨大化、次の制約は電力と建設能力

AIへの投資額はさらに大きくなっています。

xAIの巨大AIデータセンター「コロッサス」では、エヌビディア製AIチップがすでに約78万個導入され、最大144万個規模まで拡大する構想が示されました。

アンソロピックも最大1GW規模のデータセンターを直接利用する方向で協議しています。AI企業がクラウド会社から計算能力を借りるだけでなく、自ら巨大な計算基盤を確保する方向へ進んでいることを示す動きです。

一方、巨大化するほど新たな問題も生じます。

オラクル(ORCL)がニューメキシコ州の大型AIデータセンターを巡って不可抗力を通知したとの報道では、データセンターを予定通り建設し、電力を確保して稼働させること自体がリスクとして意識されました。

AI投資のボトルネックは半導体不足だけではありません。土地、電力、天然ガス、送電網、資金調達、建設能力まで広がっています。

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第2位 メタ「ミューズ」がAIエージェント市場を一気に広げる

先週、個別企業のニュースとして最も市場への波及が大きかったのが、メタ・プラットフォームズ(META)のAIエージェント「ミューズ」です。

9月21日のメタ株は11.43%上昇しました。さらにインテル(INTC)、アーム・ホールディングス(ARM)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などにも買いが広がりました。

AIエージェントが普及すれば、学習用GPUだけではなく、日常的なAI推論を処理するCPUなどへの需要も増えるとの期待が背景にあります。

ミューズの影響は半導体だけではありません。

アマゾンはミューズによる自社サイトでの買い物をブロックする一方、ショッピファイ(SHOP)は提携を選びました。

旅行分野では、航空券やホテルの検索から予約までAIが代行することで、エクスペディア・グループ(EXPE)やエアビーアンドビー(ABNB)など既存の旅行予約サービスにも競争リスクが生じています。

AIエージェントが普及すると、検索、買い物、旅行予約などインターネット上の「入口」を誰が握るのかという競争が始まります。

JPモルガンがメタの目標株価を920ドルへ引き上げたことも、ミューズが単なる新機能ではなく、メタの巨額AI投資を収益につなげる可能性を持つと評価されたことを示しています。

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第1位 米10年債利回り5%とイラン情勢が相場を左右

先週の米国市場全体を最も大きく動かしたのは、AIではなく金利と地政学でした。

9月21日はイラン情勢の緊張緩和期待から原油価格が下落し、ナスダック総合指数は2.26%上昇しました。

ところが23日には米国債入札の弱さをきっかけに債券が売られ、米10年債利回りが5.104%まで上昇しました。ナスダックは1.13%安となり、高金利がグロース株の大きな重荷になることをあらためて示しました。

24日も長期金利が2007年以来の高水準で推移しましたが、米国とイランがホルムズ海峡を巡って協議しているとの報道で株価は下げ幅を縮小しました。

25日には協議進展への期待から主要3指数がそろって上昇しました。

つまり先週の市場は、AI関連株への強い買いだけで上昇したわけではありません。原油価格、イラン情勢、インフレ、米国債利回りが毎日の株価を大きく左右していました。

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先週の米国株市場を振り返って

週間ではS&P500が1.2%高、ナスダック総合指数が2.1%高、ダウ平均が0.3%高となりました。

米10年債利回りが5%を超えるという大きな逆風があっても、AI関連株への資金流入は続きました。

ただし、AI相場の中身は変化しています。

これまでの「エヌビディアのGPU需要が増える」という単純な構図から、AIエージェント、CPU、メモリー、ネオクラウド、電力、天然ガス、量子コンピューティング、AIを利用する企業へと投資テーマが急速に広がっています。

一方で、AI関連企業への期待が高まるほど、株価評価も高くなります。金利が高い状態で企業の成長が期待を下回れば、株価が大きく調整する可能性にも注意が必要です。

先週は「AI相場の強さ」を確認すると同時に、「高金利の中でどこまで高い株価評価を維持できるのか」が問われ始めた1週間だったと考えています。

今週の注目ポイント

今週最大の焦点は、再びインフレと雇用です。

9月30日には8月の個人所得・個人消費支出が発表され、FRBが重視するPCE物価指数も確認できます。10月2日には米雇用統計が予定されており、追加利上げのペースを考えるうえで重要な材料になります。

米10年債利回りが5%台にあるだけに、インフレや雇用が予想以上に強ければ、追加利上げへの警戒からハイテク株に売りが出る可能性があります。反対にインフレ鈍化が確認されれば、高金利への警戒が和らぐ可能性があります。

AI関連では10月1日に、アルファベット(GOOGL)傘下のグーグルのTPUを搭載した試験用衛星をスペースXが打ち上げる予定です。

AIの電力問題を解決する選択肢として宇宙データセンター構想がどこまで現実味を持つのか、最初の実証実験として注目されます。

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今週も引き続き、「金利」と「AI」が米国株の方向を左右する2つの大きなテーマになりそうです。

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