ロブロックスの株価急落は「買い」なのか?バロンズ記事から読み解く次世代プラットフォームの可能性

  • 2025年11月29日
  • 2025年11月29日
  • BS余話

2025年11月に入り、以前から注目を集めていたロブロックス(RBLX)の株価が調整局面を迎えています。9月の高値から30%以上も下落し、投資家にとっては「押し目買いのチャンス」なのか、それとも「危険な落ちるナイフ」なのか、判断に迷う局面と言えます。

こうした中、11月26日付のバロンズに『Roblox Isn’t Playing Games. Why the Stock Could Jump 50%.』という非常に示唆に富む記事が掲載されました。この記事で提示されているファクト(事実情報)を整理しつつ、投資家の視点からロブロックスの現在地と将来性を分析していきます。

従来の「ゲーム会社」の枠組みで評価してはいけない

まず、多くの投資家が躊躇するのがバリュエーション(企業価値評価)の難しさです。

現状、ロブロックスの株価は向こう12ヶ月の予想ブッキング(予約売上)の約8倍で推移しています。バロンズの記事でも比較対象として挙げられていましたが、エレクトロニック・アーツのような伝統的なゲーム会社(約7倍)と比べると、一見割高に映ります。

しかし、この単純比較には疑問が残ります。なぜなら、従来型のゲーム会社がヒット作に依存する「コンテンツ制作業」であるのに対し、ロブロックスは「プラットフォーム業」だからです。

記事によると、ロブロックスのブッキングは2025年通期で前年比52%増の66億ドルに達する見込みだと報じられています。これほど高い成長率を維持しているプラットフォーム企業を、安定成長のゲーム会社と同じ物差しで測ることは、投資判断を見誤る原因になりかねません。ユーチューブがかつて放送業界の常識を覆したように、ロブロックスもゲーム業界の構造を変えつつあると考えられます。

「1日3時間」という驚異的な没入度

今回のバロンズの記事で最も注目すべきデータは、ユーザー1人あたりの平均滞在時間です。記事によると、第3四半期の平均で「1日約3時間」にも及ぶとのことです。

1日3時間というのは、他のSNSや動画配信サービスと比較しても突出した数字と言えます。ユーザー数についても、記事では8月に同時接続数が過去最高の4500万人を記録したと紹介されています。

この「可処分時間の占有率」の高さこそが、ロブロックスを長期的に強気で見るべき最大の理由と言えます。ユーザーがそこに居続ける限り、将来的なマネタイズの手段(広告、コマースなど)は多岐にわたるからです。実際に、記事では5月にリリースされた「Steal a Brainrot」というゲームが瞬く間に420億回プレイされた例が挙げられており、爆発的なトラフィックを生む土壌が完成していることがわかります。

財務諸表の「赤字」は成長の証か

表面的な決算数字だけを見ていると、ロブロックスへの投資は躊躇われるかもしれません。第3四半期も2億ドル以上の純損失を出しているからです。

しかし、ここで重視すべきはキャッシュフローです。バロンズの記事でも指摘されていますが、会計上のルールにより、受け取った現金(ブッキング)は2年間にわたって分割して売上計上されます。そのため、計算上は赤字になりやすい構造なのです。

記事によれば、第3四半期のフリーキャッシュフローは4億4400万ドルに達しています。SaaS企業やプラットフォーム企業の分析においては、会計上の利益よりも「実際にどれだけ現金を稼いでいるか」が重要です。四半期でこれだけのキャッシュを生み出せる財務体質は、見かけの赤字よりもはるかに健全であると判断できます。

「安全対策」による利益率低下をどう見るか

株価下落の直接的な要因となったのは、会社側が示した「安全性への投資強化による利益率の低下」という見通しでした。市場はこれをネガティブサプライズと受け止めましたが、少し違った見方も可能です。

記事でも触れられている通り、ロブロックスは現在、複数の州で訴訟リスクを抱えており、子供の安全性確保は急務です。AIによる年齢確認システムの導入など、コストがかかることは間違いありません。

しかし、これを「悪材料」と捉えて売るのか、それとも「長期的な存続のための必要なインフラ投資」と捉えるかで、投資スタンスは変わってきます。豊富なキャッシュフローを背景に、今この時期に徹底的に安全対策を行い、規制リスクという「膿」を出し切ることは、数年後の株価にとってはプラスに働くと考えられます。

まとめ:冷静にデータを見れば「買い場」に近い

バロンズの記事は、ロブロックスが「子供の遊び場」から脱皮しつつある現状を、ユーザー年齢層の上昇(44%が16歳以上)などのデータを用いて描いています。

市場は短期的なコスト増を嫌気していますが、提供されたファクトを基に分析すれば、ファンダメンタルズ(基礎的条件)は依然として強力です。市場の悲観がピークに達している今の局面は、長期的視点に立ったエントリーの良いタイミングと言えそうです。

ハイグロース株特有の価格変動には注意が必要ですが、ポートフォリオの一部に組み入れる価値は十分にあると言えます。


参考情報: Roblox Isn’t Playing Games. Why the Stock Could Jump 50%. (Barron’s, Updated Nov 26, 2025)

※本記事は情報の提供のみを目的としており、投資の勧誘や推奨を意図したものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

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