AIバブル終焉?それでも評価された「アルファベットとアップル」の強さを徹底解説

2025年11月下旬、米国株式市場は明らかな変調をきたしています。ナスダック総合指数が月初から6.1%下落するという調整局面において、投資家の視点は「AIなら何でも買い」という熱狂から、「実利と規律」を重視する冷静な選別へとシフトしました。

この厳しい市場環境下で、巨大テック企業群「マグニフィセント・セブン」の中で株価を上昇させたのは、アルファベット(GOOGL)アップル(AAPL)のわずか2社だけでした。

今回は、最新の市場データと企業の動きから、なぜこの2社だけが「AIアポカリプス(崩壊)」の懸念をよそに強さを維持できるのか、その理由を分析します。

1. 「支出の質」が問われるフェーズへ

これまで市場は、AI投資額の大きさを「将来への期待」として好感してきましたが、現在はその反応が逆転しています。

象徴的なのがメタ・プラットフォームズ(META)の苦戦です。CEOがAI投資の加速を宣言したにもかかわらず、株価は今月だけで8.3%も下落しました。これは投資家が、明確な勝算や即効性の見えない巨額投資に対し、警戒感を強めている証拠と言えます。エヌビディア(NVDA)でさえ、好決算を発表しながらも売り優勢となった事実は、市場のハードルがいかに高くなっているかを物語っています。

2. アルファベット:実績に裏打ちされた「攻めの投資」

対照的に、アルファベットは過去3週間で株価を6.6%上昇させ、独り勝ちの様相を呈しています。

興味深いのは、アルファベットも決して財布の紐を締めているわけではないという点です。2025年のAI支出見積もりを、7月時点の850億ドルから、10月には最大930億ドルへと大幅に引き上げています。通常であればメタ同様に嫌気されるところですが、アルファベットの株価は上昇しました。

この違いは、「成果の可視化」にあります。 アルファベットは「Gemini 3」や「Nano Banana Pro」といった具体的な新製品を矢継ぎ早にローンチしており、投資が競争力強化に直結していることを市場に納得させました。「検索事業がAIに侵食される」という懸念を払拭し、巨額投資を正当化できるだけのトラックレコードを短期間で作り上げた点が、市場からの信頼獲得(株価上昇)に繋がっています。

3. アップル:リスクを外部化する「極めて安全な逃避先」

もう一つの勝ち組であるアップルの強さは、アルファベットとは真逆のアプローチにあります。

アップルは自社で莫大なインフラ投資競争に参加するのではなく、他社の技術を巧みに取り込む「キャピタル・ライト(資産を持たない)」な戦略をとっています。

  • オープンAIとの提携(ChatGPT統合)
  • アルファベットとの「Gemini」統合交渉報道

これらは、AI開発に伴う巨額の設備投資リスクをパートナー企業(アルファベットやオープンAI)に負わせつつ、自社は強固なユーザー基盤という「出口」を押さえる戦略です。

オープンAIがインフラ整備に1.4兆ドルもの契約を結び、2025年の収益見通し(200億ドル超)との間に巨大なギャップを抱えているリスクを考えると、この「リスクの外部化」を図るアップルの戦略は、不透明な相場環境において極めて安全な逃避先(ヘッジ)として機能しています。

結論:ハイプ・サイクルの終わりと生存者

現在の市場は、単なる期待だけで買われるフェーズを終えました。

  • アルファベット: 巨額投資を正当化できる「製品力と体力」を持つハイパースケーラー
  • アップル: インフラ投資競争から距離を置き、プラットフォームの強みを活かす極めて安全な逃避先

もし仮にAIバブルが弾け、インフラ需要が蒸発するような事態になったとしても、この2社はそれぞれの強みによって生き残り、むしろ競争相手が脱落した後の市場でシェアを拡大する可能性が高いと言えます。


情報ソース: MarketWatch: “These two ‘Magnificent Seven’ stocks could be the strongest survivors of an AI apocalypse” (Nov. 22, 2025)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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