決算発表後のエヌビディア(NVDA)株は、市場の慎重姿勢を崩せずにいます。11月20日(木)に3.2%下落したのに続き、週末21日(金)の取引でも売りが優勢となり、終値は前日比0.97%安の178.88ドルで引けました。
2日連続の下落により、投資家の間には不安も漂っています。しかし、足元の株価変動と、アナリストやパートナー企業から出てくる「現場の事実」を冷静に見比べると、現在の調整局面はむしろ魅力的なエントリーポイントに見えてきます。バロンズの最新記事に含まれる情報を基に、その将来性を考察します。
1. 「AIバブル論」を否定する強力な証拠
市場の一部には「AIブームはバブルであり、過剰在庫が発生しているのではないか」という懸念がくすぶっています。しかし、トゥルイスト証券のアナリスト、ウィリアム・スタイン氏が指摘した事実は、この懸念を払拭するのに十分な説得力を持っています。
エヌビディアは電話会議において、「6年前に出荷を開始したA100チップが、現在も現場ですべて稼働しており、稼働率は100%である」と明らかにしました。
【考察】 これは極めて重要なシグナルです。通常、新製品が登場すれば旧世代品は稼働率が落ちるのが常ですが、旧型製品ですらフル稼働している事実は、「とりあえず買ったが使われていない(バブル)」のではなく、「計算資源が圧倒的に不足している(実需)」状態であることを示唆しています。株価は下落しましたが、顧客の需要は依然として逼迫しています。
2. 250ドルの目標株価と広がる乖離
ファクトセットによると、現在のアナリストによる平均目標株価は、決算前の234ドルから250ドルへと切り上がっています。 現在の株価(178.88ドル)と平均目標株価(250ドル)の間には、約40%もの上値余地が生まれています。
さらに注目すべきは、UBSのアナリスト、ティモシー・アルキュリ氏による長期的な業績予想です。ウォール街のコンセンサスでは2027年のEPS(1株当たり利益)を約8.50ドルと予想していますが、UBSは約11ドルという強気のモデルを提示しています。
【考察】 もしUBSの見立て通りEPSが11ドルに達するのであれば、現在の株価水準は長期的に見て割安と言えます。市場のセンチメント(心理)が悪化して株価が下がっている一方で、プロの分析による適正価格は上がっている――この「乖離」こそが、長期投資家にとっての機会となります。
3. 具体的プロジェクトが示す長期ロードマップ
将来性を裏付けるのは予測だけではありません。台湾のフォックスコン(鴻海精密工業)は11月21日、エヌビディアと共同で14億ドル規模のスーパーコンピューティングセンターを建設中であると発表しました。
この施設は2026年上半期に稼働予定であり、エヌビディアの「GB300 NVL72」システムが採用されるとのことです。
【考察】 株価は目先の動きに左右されますが、産業界は2026年を見据えて動いています。パートナー企業が巨額の投資(14億ドル)を行い、「GB300」という次世代システムの名指しで計画を進めている事実は、エヌビディアの技術ロードマップに対する信頼が揺らいでいない証拠です。
結論
178.88ドルまでの続落は、短期的な需給の悪化によるものと思われます。しかし、「旧型チップのフル稼働」という実需の強さと、「2026年に向けた具体的なインフラ計画」を併せて考えれば、ファンダメンタルズは依然として強固です。今回の調整により、目標株価との乖離が広がった今は、冷静な投資家にとって「バーゲンハンティング」の好機となり得るのではないでしょうか。
情報源: Adam Clark, “Nvidia Stock Couldn’t Save the Market, But It Could Be a Buy,” Barron’s, Updated Nov 21, 2025.
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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