家庭用家電メーカーのシャークニンジャ(SN)の株価が11月6日の米国市場で大きく上昇しました。2025年第3四半期の決算で予想を上回る好業績を発表したほか、米最高裁による関税関連の審理で楽観的な見方が広がったことが追い風となりました。
売上14%増、国際市場が成長を牽引
シャークニンジャの第3四半期売上は前年同期比14%増の16億ドルとなりました。特に国際市場での販売が26%以上伸びたことが全体を押し上げました。1株当たり利益は1.50ドルと、アナリスト予想の1.32ドルを上回る結果でした。通期見通しも上方修正され、売上成長率を従来の13〜15%から15〜15.5%へ引き上げています。
同社は「Ninja Fireside 360」など独創的な新製品を相次いで投入しており、38カテゴリーにわたる製品ラインナップを展開しています。この多角化戦略はリスクもありますが、新しいヒット商品を継続的に生み出す能力が競争力の源泉になっています。
関税リスクと生産移転の取り組み
2024年にシャークニンジャ株は90%上昇しており、高い期待を背負って2025年を迎えました。しかし、トランプ大統領による関税政策発表後は、株価が110ドル超から60ドル台まで急落する局面もありました。これを受けて、同社は中国からの生産移転を加速させ、ほぼすべての製造拠点を他国に移す方針を示しています。
一方で、関税の影響は依然として利益率の圧迫要因となっています。CFOのアダム・クイグリー氏は「輸入関税は依然として粗利益にとっての逆風」と説明しています。
最高裁の審理が株価上昇を後押し
株価上昇の背景には、米最高裁による関税政策審理もあります。複数の判事がトランプ政権の主張に懐疑的な姿勢を示したことで、市場では関税撤回の可能性が意識されました。これが投資家心理の改善につながり、同社株は一時9.7%高の94.75ドルを付けました。
割安感と強気なアナリスト評価
シャークニンジャ株は2025年初めには予想PER20倍で取引されていましたが、現在は16倍まで低下しています。これは割安感を生み、再び買いの好機と見られています。
ジェフリーズのアナリスト、ランドル・コニック氏は目標株価を175ドルとし、「研究開発への投資スピード、短い開発サイクル、そしてマーケティング力が同社の強み」と評価しています。これは92ドルあまりの現在株価から約90%の上昇余地を示唆しています。
アナリスト14人のうち11人が「買い」または「オーバーウェイト」と評価しており、「売り」評価はゼロです。平均目標株価は133ドルと、今後の成長に対する市場の期待が依然として高いことを示しています。
まとめ:短期的リスクの中でも長期的魅力は健在
シャークニンジャは、関税リスクや製品多角化による経営の難しさといった課題を抱えつつも、R&Dと製品革新力で市場を牽引しています。株価の調整を経て、現在の水準は中長期的な投資機会として注目されます。
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