米国のテーザー銃メーカーであり、警察向けソフトウェア事業も展開するアクソン・エンタープライズ(AXON)の株価が急落しました。11月4日に発表した2025年第3四半期決算で売上は過去最高を記録したものの、利益が市場予想を下回ったことが主な要因です。
売上は過去最高の7億1,100万ドル、31%増加
アクソンの第3四半期の売上は7億1,100万ドルと、前年同期比で31%増加しました。これはアナリスト予想の7億500万ドルをわずかに上回る好結果で、7四半期連続で30%以上の売上成長を維持しています。警察や公共安全機関向けのテーザー、ボディカメラ、クラウドベースの証拠管理ソフトウェアなどの需要が引き続き堅調でした。
調整後1株利益は市場予想を下回る
一方、調整後1株当たり利益は1.17ドルと、アナリスト予想の1.52ドルを大きく下回りました。売上の伸びに対してコストの増加が利益を圧迫した格好です。報告によると、営業損失は220万ドルとなり、前年同期の2,410万ドルの黒字から赤字に転落しました。主な要因は従業員数の増加と株式報酬費用の拡大です。これでアクソンは4四半期連続で営業損失を計上しています。
株価は1日で19%下落、S&P500で最悪のパフォーマンス
決算発表を受けてアクソン株は11月5日の米国市場で一時19%下落し、S&P500構成銘柄の中で最も大きな下落となりました。株価急落は利益率低下とコスト増への懸念を反映したものです。市場では「成長のための投資が一時的に利益を圧迫している」との見方もあります。
第4四半期の見通しと今後の投資計画
アクソンは第4四半期の売上を7億5,000万〜7億5,500万ドルと予想しており、前年同期比で約31%の成長を見込んでいます。EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は1億7,800万〜1億8,200万ドルの見通しで、ウォール街予想の1億8,700万ドルをやや下回ります。
同社はコスト増にもかかわらず、成長に向けた投資を継続しています。11月5日には、緊急通報プラットフォームを提供する非上場企業Carbyne(カービン)の買収を発表しました。買収額は6億2,500万ドルで、2026年第1四半期に完了予定です。アクソンはこの買収により、公共安全領域でのソフトウェア事業をさらに拡大する狙いです。
成長と収益性のバランスが今後の焦点に
アクソンは売上成長を維持しながらも、利益率の改善が課題となっています。警察向けテクノロジー分野では競争が激化しており、今後はコスト管理と新規事業の収益化が株価回復の鍵となりそうです。
*過去記事はこちら アクソン AXON
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