2025年10月は、米国市場でAI関連株が再び注目を集めた月となりました。S&P500構成銘柄のうち、上位5銘柄のうち4銘柄が人工知能(AI)関連企業であり、テクノロジーセクターが全体相場を牽引しました。一方で、金融や不動産、ヘルスケアの一部企業は業績悪化により大きく下落しました。
以下では、10月のS&P500で最も上昇した銘柄と下落した銘柄を紹介します。
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)
10月のS&P500で最も上昇したのはアドバンスト・マイクロ・デバイセズです。株価は1か月で58%上昇し、2001年以来の好調な月となりました。同社は10月初旬に、オープンAIと大規模な供給契約を締結したと発表しました。オープンAIは6ギガワット分のAMDチップを導入し、対価として最大1億6000万株を発行する計画です。この取引が投資家の期待を高め、株価急騰の主因となりました。
マイクロン・テクノロジー(MU)
マイクロン・テクノロジーは10月に34%上昇し、年初来の上昇基調を継続しました。AI需要の高まりにより、同社のDRAM(メモリ)製品の価格上昇が続いています。また、韓国のSKハイニックスが「メモリ需要のスーパーサイクル」を予想したことも、投資家心理を押し上げました。
テラダイン(TER)
半導体やロボティクス向けテストシステムを手がけるテラダインは、10月に32%上昇しました。同社は第3四半期決算で市場予想を上回る結果を発表し、第4四半期ガイダンスも強気の見通しを示しました。AI関連のテスト需要が引き続き旺盛であることが背景にあります。
ジェイ・ビー・ハント・トランスポート・サービシズ(JBHT)
輸送企業のジェイ・ビー・ハント・トランスポート・サービシズは10月に26%上昇しました。景気減速による物流需要の弱さをコスト管理で補い、10月16日に発表した第3四半期決算でアナリスト予想を上回りました。1日の上昇率としては1998年以来の大きさとなりました。
ウェスタン・デジタル(WDC)
データストレージ企業のウェスタン・デジタルは25%上昇し、S&P500の上位5位に入りました。クラウドやAI投資によるストレージ需要の急増が業績を押し上げ、第3四半期決算でも予想を上回る結果を発表しました。
フィサーブ(FI)
一方、10月のS&P500で最も下落したのはフィサーブです。株価は約48%急落し、同社にとって過去最悪の月となりました。通期見通しを引き下げ、第3四半期決算も市場予想を下回ったことが影響しました。CEOのマイク・ライオンズ氏は、アルゼンチン事業の成長期待が過剰であったことや短期志向の経営判断を要因と説明しました。
アレクサンドリア・リアル・エステート・エクイティーズ(ARE)
不動産投資信託(REIT)のアレクサンドリア・リアル・エステート・エクイティーズは、10月に30%下落しました。第3四半期に赤字へ転落し、通期ガイダンスも投資家の期待を下回りました。不動産評価損がさらに拡大する可能性を示唆しており、不動産セクターの不安定さを象徴しています。
F5ネットワークス(FFIV)
サイバーセキュリティ企業のF5ネットワークスは、10月に22%下落しました。国家関係者によるサイバー攻撃を受け、一部システムへの不正アクセスが確認されたと発表。米国のサイバーセキュリティ・インフラ庁は「連邦ネットワークに対する差し迫った脅威」と警告を出しました。
モザイク(MOS)
肥料メーカーのモザイクは21%下落しました。第3四半期のリン酸塩生産量が予想を下回り、少なくとも8社のアナリストが目標株価を引き下げました。資源価格の変動に対する脆弱性が改めて意識されています。
モリナ・ヘルスケア(MOH)
医療保険企業のモリナ・ヘルスケアは20%下落しました。同社はコスト上昇とマーケットプレイス事業の不振を理由に、通期の業績見通しを3度目の下方修正。第3四半期の売上・利益ともに市場予想を下回りました。
まとめ
2025年10月はAI関連株がS&P500の上昇を主導しました。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、マイクロン・テクノロジー、テラダイン、ウェスタン・デジタルといった企業がAIブームの恩恵を受けた一方で、金融、不動産、ヘルスケアなど非テクノロジー分野では業績悪化が目立ちました。AI関連投資への資金流入が続く一方、セクター間の明暗が鮮明になった月でした。
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