エヌビディア(NVDA)の最高経営責任者であるジェンスン・フアン氏は10月31日、韓国で開催されたAPECサミットの場で「AIバブル」について問われ、「現在は新しいコンピューティングプラットフォームの10年にわたる構築の初期段階にある」と語りました。AIはすでに企業や消費者にとって実用的であり、「AIが利益を生み出しているからこそ投資が増えている」と強調しました。
AIは「実用段階」に突入、エヌビディアが5兆ドル企業に
今週、エヌビディアの時価総額は5兆ドルを突破し、世界で初めてこの水準に到達しました。この記録的な規模の成長により、フアン氏の発言には大きな注目が集まっています。AIブームの真っ只中にある同社のCEOとして、「バブルではなく、産業構造の変革期だ」との姿勢を鮮明にしています。
中国向けチップ輸出に言及、最終判断はトランプ大統領に
記者からの質問では、中国へのブラックウェルAIチップ輸出についても問われました。フアン氏は「販売したいが、最終決定はトランプ大統領の判断に委ねられる」と発言しました。また、中国も独自にAIチップを生産しており、軍事分野でも十分な技術を持っていると指摘しました。
エヌビディアの株価は、トランプ大統領が「中国とのマイクロチップ協定はまだ成立していない」と述べた後に一時下落しましたが、31日のプレマーケットでは上昇に転じています。年初来では株価が約51%上昇しています。
「AI関連株バブル論」への反論と企業の資金力
S&P500指数は7,000ポイントに迫り、時価総額の集中度が高まる中で「バブルではないか」という議論が活発化しています。エヌビディアの株価収益率(PER)は45倍と高水準ですが、同社を含むAI関連大手の多くは強固なキャッシュフローに支えられています。
UBSが10月に発表した報告書「AI関連の資金調達は懸念すべきか」では、アルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)、アップル(AAPL)の4社が2025年に設備投資後も2,000億ドル以上のフリーキャッシュフローを生み出す見通しを示しました。これは、AI投資が借入ではなく事業収益で賄われていることを示す根拠となっています。
メタの巨額社債発行が転機に、AI投資の資金調達構造が変化
ただし、メタが発行した300億ドル規模の社債は注目を集めています。これはメガキャップ企業として初めてAI投資を目的に巨額の借入を行った事例です。モルガン・スタンレーは今後3年間でAIインフラ投資が3兆ドル規模に達すると予測しており、そのうち半分は新たな借入によって資金調達されると見ています。
このように、AI投資の波は単なる熱狂ではなく、明確な収益性と長期的な成長見通しを背景に進んでいるといえます。ジェンスン・フアン氏の言葉を借りれば、「AIはもう好奇心ではなく、利益を生み出す産業」なのです。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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