マイクロソフト(MSFT)は2025年第1四半期決算で市場予想を上回る売上と利益を発表しましたが、株価は発表翌日の10月31日の米国市場で下落しました。決算内容は引き続き堅調であり、特にクラウド事業「Azure(アジュール)」の売上が前年比40%増と急成長しています。
売上・利益ともに予想超えも株価は反落
マイクロソフトの2025年第1四半期の売上は777億ドルで、アナリスト予想の754億ドルを上回りました。調整後1株利益も4.13ドルと市場予想(3.67ドル)を大きく上回りました。
しかし、CFOのエイミー・フッド氏が示した次期ガイダンスでは、売上が795億~806億ドルと予想範囲内である一方、Azureの成長率見通しが37%に鈍化したことが嫌気され、30日の市場で約3%下落しています(米国東部夏時間12:39現在)。
AIデータセンター投資が今後の成長ドライバーに
CEOのサティア・ナデラ氏は決算説明会で、「当社のAIインフラ容量は2025年中に80%以上拡大し、データセンターの規模は今後2年間で倍増する」と述べました。
その一方で、今四半期の設備投資額(CapEx)は349億ドルに達し、市場予想を上回る水準となりました。フッド氏は「2026年度のCapEx成長率は2025年度を上回る」と発言しており、AIデータセンター拡張への積極投資姿勢を示しています。
バーンスタインのマーク・モアドラー氏は目標株価を637ドルから645ドルに引き上げ、「AIデータセンターの建設が追いつけば、マイクロソフトはさらに速い成長が可能だった」とコメントしています。同氏は「現在の株価下落は買いの好機」と指摘しました。
オープンAIとの新たな提携構造
また、マイクロソフトとオープンAIの関係も進化しています。両社は、オープンAIの営利子会社を「公益法人(Public Benefit Corporation)」に転換し、マイクロソフトが27%を保有する新たな形に移行します。さらに、オープンAIは今後、Azureサービスを2,500億ドル分追加購入する計画を発表しました。
このニュースが決算発表前に報じられたこともあり、マイクロソフト株は前日に2%上昇していました。
AIクラウドの成長と株価見通し
HSBCのアナリストはAzureの2025~2027年の年平均成長率を46%と予測し、目標株価を648ドルに引き上げています。アマゾン・ドット・コム(AMZN)のAWSが直近で18%成長にとどまる中、Azureは明確に優位なポジションを維持しています。
短期的な株価調整はあるものの、AIとクラウドの二大成長軸がマイクロソフトの中長期的な成長を支えるとの見方が優勢です。
株価は年初来で29%上昇
2025年に入り、マイクロソフト株はすでに29%上昇しており、ナスダック総合指数(+23%)を上回るパフォーマンスとなっています。決算後の短期的な調整はあるものの、AI投資とクラウド需要の持続的な拡大が株価の下支え要因になるとみられています。
*過去記事はこちら マイクロソフト MSFT
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