メタのAI支出にウォール街が警戒、株価12%急落

メタ・プラットフォームズ(META)の株価は、AI関連支出の急増を背景に10月30日の米国市場で大幅下落しました。投資家の間では「過剰投資ではないか」との懸念が広がり、時価総額は一日で約2,370億ドル失われました。

売上よりもAI投資が焦点に

メタは2025年の設備投資予想を3度目の上方修正を行い、年間で700億〜720億ドルに引き上げました。前年の支出額(390億ドル)から大幅な増加となり、AIインフラ整備への資金投入が中心です。しかし、これほどの巨額投資がどの程度の収益を生むのかは依然として不透明です。

アナリストの中には、「メタのAI支出は2021〜2022年のメタバース投資を彷彿とさせる」と警戒する声もあります。当時も市場は懐疑的に受け止め、株価は急落しました。

アナリストによる相次ぐ格下げ

オッペンハイマー証券はメタ株の格付けを「アウトパフォーム」から「パフォーム」に引き下げました。同社は、「スーパーインテリジェンス(Superintelligence)」と呼ばれるAI研究部門への多額投資について、収益化の見通しが立たないと指摘しています。

同様にベンチマーク証券も、メタ株を「買い」から「ホールド」に格下げしました。理由として、「AI投資が過剰で、株価は当面レンジ相場になる」との見方を示しています。特にロボティクス分野やLlama AIモデルなどの開発競争は激化しており、オープンAI、グーグル、テスラ(TSLA)など競合との比較でも優位性が見えにくいと分析されています。

株価は3年ぶりの急落幅

メタの株価は10月30日の午前取引で一時12.5%下落し、2022年10月以来となる3年ぶりの大幅な下落率を記録しました。この下落が続けば、時価総額で約2,370億ドルが失われる計算になります。

この急落には、一時的な税金費用の影響もあります。会社発表によると、第3四半期の1株当たり利益(EPS)は1.05ドルと、アナリスト予想の6.72ドルを大きく下回りました。ただし、税負担を除いた場合のEPSは7.25ドルと説明しています。

アルファベットとの比較と投資家心理

オッペンハイマーによると、メタとアルファベット(GOOGL)の株価収益率(P/E)はいずれも2027年予想で約21倍ですが、アルファベットの広告事業はより安定的で、来年には成長率でメタを上回る可能性があるとしています。

投資家の中には、「メタの株価は今後2027年までの収益見通しが明確になるまで評価しづらい」という意見も多く、AI分野の大型投資に対して慎重な姿勢が広がっています。

AI投資は次の成長源になるのか

メタは「AIが次世代の中核技術になる」として、AIチップ開発、モデル訓練、データセンター拡張など多方面で積極投資を続けています。しかし、そのリターンが見えるのは数年先であり、現在の市場はそのリスクを織り込み始めています。

一方で、エヌビディア(NVDA)などAIハードウェア関連企業は引き続き成長が続いており、AI市場全体では資金流入が続いています。メタの挑戦が長期的に成果を上げるかどうかは、2026〜2027年以降に明らかになりそうです。

*過去記事 メタ・プラットフォームズ

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!
>

幸せな生活作りのための米国株投資。
老後資産形成のための試行錯誤の日々を報告していきます。
皆様の参考になれば幸いです。

CTR IMG