アマゾン(AMZN)の株価は、第3四半期決算後に10月30日の時間外取引で13%以上急上昇し、2022年以来最大の上昇率を記録する見込みです。これまで懸念されていたクラウド事業「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」のAI競争力に対して、投資家の見方が一気に好転しました。
AWSが11四半期ぶりの高成長、AIチップ「Trainium」も急伸
AWSの売上は前年同期比で20%増加し、11四半期ぶりの高い成長率となりました。さらに、AI専用チップ「Trainium」事業の売上は前期比150%増と大幅に伸びています。ウォール街のアナリストは、AWSの売上成長が第4四半期に21~22%へと加速すると予測しています。
エバコアISIのマーク・マハニー氏は「AWSのロックが解けた」と表現し、AI関連需要がAWSの成長を再び牽引すると指摘しました。これまで懸念されていたAI分野での競争力不足は払拭されつつあります。
アナリストの評価が急上昇、AWSの信頼回復が鮮明に
UBS証券のスティーブン・ジュ氏は、「アマゾン株はバネのように溜め込まれていた」と述べ、今回の決算でその反動が一気に表面化したと分析しました。AWSの再加速によって、経営陣のAI戦略への信頼が回復したと評価されています。
ウェドブッシュ証券のスコット・デビット氏も「ポジティブな転換点」と評し、「AWS成長の再加速と前向きな経営コメントにより、アマゾンがAI分野で主導的な地位を維持する自信を取り戻した」と述べています。
AWSの成長率はさらに上昇へ、2025年の設備投資も拡大
AWSの成長率は6月期の17.5%から9月期に20.2%へと加速し、12月期には22%前後に達すると予想されています。米国みずほ証券のロイド・ウォルムズリー氏も「AWSの成長ペースは年末に向けてさらに上がる」と分析しました。
また、アマゾンの2025年の設備投資ガイドラインは1,000億ドルから1,250億ドルへと引き上げられており、AIとクラウドインフラへの投資を積極化させています。ウォルムズリー氏は「今後数四半期の需要見通しが明確に上向いている」と述べ、AWS成長の持続を予想しています。
株価の割安感が浮上、「マグニフィセント・セブン」で再評価へ
アマゾン株は決算前まで「マグニフィセント・セブン」の中で最もパフォーマンスが低く、年初来でわずか2%の上昇にとどまっていました。しかし今回の決算後、24倍という低い予想PER(3年平均31倍)を背景に反発の余地が広がっています。
ウォルムズリー氏は「アマゾン株は明確なリバウンド局面に入った」とし、投資家が再び買いを入れる動きが加速すると見ています。
広告事業と小売事業も堅調、AI活用で利益率改善へ
AWSに注目が集まる一方で、広告事業も前年同期比24%増と加速しています。これは6月期の23%増からさらに伸びた形で、アマゾンの利益を下支えしています。
Pivotal Researchのジェフリー・ウロダルチャック氏は「アマゾンは高利益率の成長事業を2つ(AWSと広告)抱えており、物流事業と組み合わせることでAIとロボティクスによる長期的な利益率改善が見込める」と指摘しています。
また、小売部門も堅調に推移しており、マハニー氏は「リテール事業の成長は安定しており、全体の売上基盤を強化している」と評価しました。
まとめ:AIシフトが追い風、アマゾンは再び主役へ
AWSと広告の両輪が回復し、AI投資の成果が見え始めたことで、アマゾンの事業全体が再び成長軌道に戻っています。投資家心理も明確に改善し、「AIバブル懸念」から「AI成長期待」へと評価が変化しました。
AIインフラ需要の拡大とともに、アマゾンは再び米国テック市場の中心に戻りつつあります。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN
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