メタ・プラットフォームズ(META)の株価が10月29日の第3四半期決算発表後に急落しました。売上は市場予想を上回ったものの、AI関連投資の増加によって利益率が圧迫されたことが投資家の懸念を呼んでいます。
売上は好調でも利益率が下落
第3四半期の売上は512億ドルとなり、前年同期比で26%増加しました。市場予想の495億ドルを上回る堅調な結果でした。しかし、1株当たり利益は1.05ドルと、アナリスト予想の6.72ドルを大きく下回りました。これは四半期内の一時的な大型費用計上が影響しています。
営業利益率は40%と、前年の43%から低下しました。コストの増加が売上成長を上回っており、特にAI研究部門の人員増加によって研究開発費が前年より28%も増加しました。
AIデータセンター投資が急拡大
メタは2025年の設備投資見通しを再び引き上げ、710億ドルを見込んでいます。これは年初の計画(690億ドル)を上回る水準です。また、2026年にはさらに大幅な支出増を予定していると発表しました。AI関連データセンターへの投資が主な要因です。
こうした積極投資の影響で、同社のキャッシュフロー構造も変化しています。営業キャッシュフローは前年同期比で21%増加しましたが、設備投資を差し引いたフリーキャッシュフローは35%減少しました。
ブルー・オウル・キャピタルとの提携
メタは先週、AIデータセンター「ハイペリオン」に関して、オルタナティブ投資会社ブルー・オウル・キャピタルと総額270億ドルの共同事業契約を締結しました。これにより、関連する債務はメタのバランスシート外に計上され、キャッシュフローへの負担を軽減できます。
他の大手テック企業がクラウド事業としてAIデータセンターを外部提供しているのに対し、メタは自社サービス向けにすべてを保有しており、資産集約型への転換が鮮明になっています。
ザッカーバーグ氏のAI戦略
マーク・ザッカーバーグCEOは決算説明会で「AI投資による成果が広告など中核事業でも現れ始めている」と述べ、AI強化の方針を改めて強調しました。同社はメタAIチャットボットなど、35億人の利用者が使うアプリ群でAIを活用した新しい体験を提供することを目指しています。
ただし、AIモデルの開発には課題もあります。2025年4月に発表した「Llama 4」モデルは評価が低く、ザッカーバーグ氏はAIチームの再編に着手しました。6月には世界的AI人材の獲得を目的に、スタートアップのスケールAIの49%を290億ドルで取得し、CEOのアレクサンダー・ワン氏をメタのAI研究責任者に迎え入れました。
投資家の懸念と今後の見通し
AI分野での積極投資は将来的な競争力を高める一方、短期的には利益率の低下やキャッシュフローの悪化につながっています。株価は決算発表後の時間外取引で一時8%下落しました。今後の焦点は、AI投資の成果がどのタイミングで実際の収益に反映されるかという点にあります。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ
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