米国電気自動車メーカーのテスラ(TSLA)が、自動運転技術において大きな成果を上げつつあります。モルガン・スタンレーの著名アナリストであるアダム・ジョナス氏は、最新レポートの中でテスラが「実質的に自動運転を解決した」と高く評価しています。
テスラが見据える「安全運転手なし運用」の実現
テスラは2025年末までに、複数都市で安全運転手を完全に排除したサービス提供を目指しています。現在はテキサス州オースティンやサンフランシスコ湾岸地域で、テスラ社員が同乗する形で自動運転ライドシェアサービスを提供中です。
しかしイーロン・マスクCEOは、安全を最優先とする姿勢を取りながらも、年内にはオースティンで安全運転手を外す可能性にも言及しています。運用開始後の安全確認期間も「3か月ほどで短縮できる」と述べています。
マスク氏は「我々は安全に対して偏執的なほど慎重だ」と語り、無理な展開を避けながら自動運転社会の実現へ着実に動いています。
2026年量産開始予定の「サイバーカブ」が鍵に
テスラは2026年に、ハンドルとペダルのないロボタクシー専用車「Cybercab(サイバーカブ)」の量産を予定しています。これが普及すれば、都市の移動体験は大きく変わる可能性があります。
また、マスク氏はターゲット地域としてネバダ州・フロリダ州・アリゾナ州を挙げ、2025年末までに最大10都市でのサービス提供を想定しています。
業界の常識を覆す「カメラのみ」戦略
自動運転業界では、ライト検知センサー「LiDAR(ライダー)」を含む複数のセンサーを組み合わせる方式が一般的です。
例えば、アルファベット(GOOGL)の自動運転企業Waymoは、13台のカメラ、4台のライダー、6台のレーダーなど多くのセンサーを搭載しています。また、リヴィアン(RIVN)も10台のカメラや複数のレーダーを採用しています。
しかしテスラは異なる道を選びました。カメラ中心の“Vision Only”アプローチです。搭載カメラは最大9台というシンプルな構成で、コストを大きく削減できます。
マスク氏は2019年のイベントで「車にライダーを載せるのはバカげている。高価な上に無駄だ」と述べ、センサー過多への疑問を示してきました。
競合との違いがテスラの強みになる可能性
コストを抑えたカメラ主体の手法が、より早い社会実装につながるとジョナス氏は分析しています。
「完璧ではないが、安全運転手を外せる段階まで到達している。あとは慎重な判断だけだ」
従来型の高額センサー依存モデルに対して、テスラの方法はスケール拡大のしやすさが大きな利点となる見込みです。
自動運転市場の主役はテスラに?
まだ完全な自動運転社会には課題が残っていますが、実証段階にある企業は限られています。
米国のビッグテック各社がAI領域で競争する中、テスラは実際の車両運用を通じて膨大な走行データを収集しており、競争優位性の獲得につながっています。
巨大市場を形作るロボタクシー時代、その主役に最も近いのはテスラと言える状況です。
*過去記事はこちら テスラ TSLA
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