量子コンピューター銘柄が急騰!米政府が出資検討、トランプ政権の新戦略とは

  • 2025年10月24日
  • 2025年10月24日
  • BS余話

2025年10月23日の米国市場で量子コンピューティング関連株が急騰しました。報道によると、トランプ政権が量子コンピューティング企業への出資を検討しているとされ、投資家の関心が一気に高まっています。

政府が出資を検討する量子企業

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、米政府はカナダのディーウェーブ・クオンタム(QBTS)、イオンキュー(IONQ)、リゲッティ・コンピューティング(RGTI)などとの協議を行っているとのことです。クォンタム・コンピューティング(QUBT)も同様の枠組みを模索しているとされます。

これらの取引が実現すれば、政府は資金提供と引き換えに企業の株主となり、量子技術の育成を国家戦略として進める形になります。ただし、現時点では最終決定には至っていません。

報道を受け、ディーウェーブ・クオンタムの株価は一時20%上昇、イオンキューとリゲッティ・コンピューティングもそれぞれ13%高、クォンタム・コンピューティングも9%上昇しました。

量子コンピューティングの戦略的重要性

ベンチマーク・リサーチのアナリスト、デイビッド・ウィリアムズ氏は、「量子技術はAIや核エネルギー、宇宙開発と並ぶ戦略分野として位置付けられた」と述べ、米国政府が基礎研究から応用分野まで幅広く支援する姿勢を示していると指摘しました。

量子コンピューティングは、量子力学の原理を利用し、従来の0と1のバイナリ計算では不可能な複雑な問題を高速に処理する技術です。これにより、創薬や化学開発のスピードを飛躍的に高める可能性があり、国家安全保障の分野でも応用が期待されています。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の物理学者エリザベス・ゴールドシュミット教授は、「GPSを使わずに位置情報を取得できる量子ナビゲーション技術は安全保障上のブレークスルーになる」と述べています。

巨大な可能性と現実的な課題

バンク・オブ・アメリカ(BofA)は2025年7月のレポートで、「量子コンピューティングは人類史上最大の技術革命となる可能性がある」と評価し、量子研究への世界的な公的資金は少なくとも420億ドルに達すると指摘しました。そのうち3分の1以上は中国によるものとされています。

一方で、現実的な課題も存在します。エヌビディア(NVDA)のジェンスン・フアンCEOは「実用的な量子コンピューターが登場するまで20年はかかるかもしれない」と発言したことが話題となりました。量子計算は依然として「ノイズ」に弱く、安定した量子ビット(qubit)の制御が難しいのが現状です。

アルファベットが量子優位性を実証

こうした中、アルファベット(GOOG/GOOGL)のQuantum AIチームは、量子チップ「Willow」で初めて“検証可能な量子優位性”を達成したと発表しました。これは古典コンピューターに比べて1万3000倍高速にアルゴリズムを実行できる成果で、実用化への重要な一歩とされています。

また、IBM(IBM)やハネウェル(HON)など大手企業も量子開発に積極的に取り組んでいます。

財務面では依然赤字も、投資家の関心は高い

量子コンピューティング企業は依然として赤字経営が続いています。ディーウェーブ・クオンタムは年間売上が2500万ドル未満ながら約2億3000万ドルの純損失を計上する見込みです。最大手のイオンキューも売上9,000万ドルに対して5億ドル近い損失が予想されています。

それでも投資家の関心は衰えず、2025年に入ってからディーウェーブ・クオンタム株は3倍以上、リゲッティ・コンピューティング株は2倍以上、イオンキュー株も30%上昇しています。

国家戦略としての量子投資

米政府が量子企業に出資すれば、インテル(INTC)やMPマテリアルズ(MP)への国家安全保障関連投資に続く動きとなります。トランプ政権が次に狙うのは、AIに続く「量子競争の勝者」としての地位確立かもしれません。

*過去記事「量子コンピューター銘柄にバブル懸念?急騰相場の裏で広がるリスク

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