オープンAI「Atlas」登場でブラウザ戦争再燃 アルファベット株が急落

オープンAIは10月21日、新しいAIブラウザ「Atlas(アトラス)」を発表しました。この発表を受けて、アルファベット(GOOGL)の株価は一時4%下落しました。アトラスは、従来の検索体験を根本から変える可能性があり、ブラウザ市場でグーグル・クロームの牙城に挑む動きとして注目されています。

AIブラウザ「Atlas」がもたらす新しい検索体験

アトラスは、チャットGPTの技術を活用し、ブラウザのサイドバー上でAIと対話しながら作業を進めることができる設計になっています。さらに特徴的なのは「エージェント機能」で、ユーザーが一つのコマンドを入力するだけで複雑な作業を自動で実行できる点です。

例えば、オープンAIのエンジニアがレシピサイトを開き、「この材料を買って」と指示すると、アトラスが過去の利用履歴からインスタカート(CART)経由で食材を選び、買い物かごに追加する様子がライブ配信で紹介されました。このような自動化機能はまだ発展途上ですが、今後の進化によって幅広い分野に応用されると見られています。

グーグル・クロームが抱える新たな脅威

グーグル・クロームは現在、世界のブラウザ市場で72%という圧倒的なシェアを誇っています。アップル(AAPL)のサファリが14%で続き、この2つのブラウザがスマートフォン市場をほぼ独占しています。アトラスは現時点ではMac向けに限定されているため、普及には時間がかかる可能性があります。

それでも、アトラスの登場はグーグルにとって大きなリスクとなり得ます。クロームは無料で提供されていますが、検索や広告収益への入り口として重要な役割を担っているため、市場シェアを失うと広告収益にも影響が及ぶ懸念があります。

ブラウザ戦争の再来か オープンAIの戦略

かつてインターネット・エクスプローラーが支配的だった時代、グーグルは軽快なクロームを投入し、瞬く間に覇権を奪いました。今回、オープンAIが挑む構図はその逆のようにも見えますが、状況は大きく異なります。インターネット・エクスプローラーはユーザーから不満を集めていた一方、クロームは今でも高い人気を維持しているため、アトラスが同じ勢いでシェアを奪うのは容易ではありません。

ただし、アトラスはAIによる自動化やパーソナライズ機能という新しい価値を提供しており、既存ブラウザとの差別化を図っています。サム・アルトマンCEOはライブ配信で、「カスタム設定がウェブ上のどこでもあなたに寄り添う体験を提供することが目標だ」と語りました。

競争激化するAIブラウザ市場

AIブラウザ分野では、すでにパープレキシティ社が「Comet(コメット)」を提供しており、アンソロピック社もグーグル・クローム向けのプラグインを発表しています。今後、グーグル自身もAI対応ブラウザを投入する可能性があり、AI時代の「第2次ブラウザ戦争」が始まったとの見方が広がっています。

オープンAIの挑戦はまだ始まったばかりですが、AIエージェントがウェブ操作を自動化する未来像は、多くの企業にとって避けて通れない流れとなりつつあります。アトラスの成功が、検索と広告の支配構造をどう変えるのかが今後の焦点となります。

*関連記事「オープンAIが新ブラウザ「Atlas」を発表 グーグル・クロームに挑戦

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