米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは10月21日、エヌビディア(NVDA)がオープンAIの債務保証を検討していると報じました。この報道を受けて、エヌビディア株は小幅に下落しています。人工知能(AI)ブームの中心にいる同社にとって、今回の動きは新たなリスク要因として注目されています。
エヌビディア株は小幅下落 AI関連取引の「循環構造」に懸念
21日午前の米国市場でエヌビディア株は1%下落し、前日の0.3%安に続く形となりました。株価は181ドル近辺で推移しており、年初から大幅に上昇した後、横ばいの動きが続いています。AI関連企業間での取引が「循環的」になりつつあるとの懸念が市場で広がっており、これが投資家心理の重荷となっています。
エヌビディアはAIモデルの学習に最適化されたGPUを提供し、AI関連の中心的存在として評価されています。しかし、今回の報道では、オープンAIとの巨額取引が潜在的リスクを孕んでいる可能性が指摘されています。
3,500億ドルのチップリース契約と債務保証の可能性
報道によると、エヌビディアはオープンAIに最大500万個のチップをリースする契約を結んでおり、その総額は現在の評価額で約3,500億ドルに上ります。さらに、オープンAIがデータセンター建設資金のために借り入れるローンの一部を、エヌビディアが保証する可能性があると伝えられています。
もしオープンAIが支払い義務を果たせない場合、エヌビディアが数十億ドル規模の債務を負うリスクが生じる可能性があります。このような「背中合わせの投資構造」は、AI市場の成長を支える一方で、企業間の財務リスクを複雑化させています。
オープンAIの事業規模と関係企業
オープンAIは2025年の年間売上が130億ドルに達する見込みで、企業価値は5,000億ドルと評価されています。主な取引先との関係は、オラクル(ORCL)との3000億ドル規模のクラウド契約、AIクラウド企業コアウィーブ(CRWV)との最大224億ドルの契約、さらにカスタムチップ設計を手がけるブロードコム(AVGO)との供給契約などがあります。
このように、AIインフラを支える企業群が相互に契約・投資関係を結ぶことで、AI市場は急速に拡大しています。一方で、この構造が「AIバブル」的なリスクを内包しているとの見方もあります。
今後の注目点
エヌビディアがオープンAIとの提携をどのようにリスク管理するかが、今後の焦点になります。債務保証が実際に行われる場合、短期的には株価のボラティリティが高まる可能性がありますが、長期的にはAIインフラ支配力をさらに強める契機となるかもしれません。エヌビディアがAIエコシステム全体の中心に位置する限り、その動向は市場全体に大きな影響を与え続けると考えられます。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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