米国みずほ証券のアナリスト、ビジェイ・ラケッシュ氏は10月21日、ブロードコム(AVGO)の目標株価を従来の430ドルから435ドルへ引き上げ、「アウトパフォーム(買い)」の評価を維持しました。同氏によると、AI分野の有力スタートアップであるアンソロピックがブロードコムの第4の主要顧客となる可能性が高いとみられています。
アンソロピックがAIチップの新顧客に浮上
ラケッシュ氏は調査メモの中で、「チャネル調査の結果、アンソロピックがブロードコムの第4の顧客となり、2026年後半にはAIサーバーラック関連で100億ドル規模の売上を生み出すと予想している」と述べています。
ブロードコムは先月、匿名の新規顧客から100億ドルのAIチップ受注を獲得したと発表していましたが、その相手がアンソロピックである可能性が高いとみられています。
アンソロピックは急成長中のAIスタートアップ
アンソロピックは2025年9月に総額130億ドルの資金調達を実施し、企業価値は1830億ドルに達しました。年間売上のランレート(実績ベースの年間換算)は50億ドルを超えており、年初の10億ドルから急拡大しています。
同社の顧客数はすでに30万社を超え、生成AIモデル分野でオープンAIやグーグルと並ぶ有力企業に成長しています。今回のブロードコムとの提携が事実であれば、AI向け半導体市場での競争はさらに激化することになります。
ブロードコムのAI半導体事業が加速
ブロードコムはAI用途に特化したASIC(特定用途向け集積回路)の設計・製造を手がけており、企業ごとにカスタマイズしたチップを提供しています。AIチップ需要の拡大を背景に、同社の売上は好調に推移しており、2025年の株価は年初来で約48%上昇しています。
これは、半導体セクター全体を代表するETF「iシェアーズ・セミコンダクターETF」の上昇率35%を大きく上回るパフォーマンスです。
AI市場での競争と成長期待
今回の報道を受けてブロードコム株は小幅に下落しましたが、長期的にはAI市場での新たな成長機会が広がっているとみられます。アンソロピックをはじめとする生成AI企業の急速な拡大が、今後の売上成長を支える要因になる可能性があります。
AI関連チップ市場ではエヌビディア(NVDA)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)なども競合していますが、ASIC分野でのブロードコムの優位性は依然として高いと評価されています。
*過去記事はこちら ブロードコム AVGO
🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇