オープンAIとの契約が映す新たなリスク:エヌビディア、ブロードコム、AMDの明暗

米テック系メディア「The Information」は10月17日付の記事で、エヌビディア(NVDA)、ブロードコム(AVGO)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)がそれぞれオープンAIと結んだ異なる提携内容を分析しました。AIチップ市場の拡大を追い風に株価を伸ばしてきた3社ですが、今回の契約は成長機会と同時に新たなリスクも孕んでいると指摘しています。

オープンAIの巨額投資と3社の関係

オープンAIは2029年までに約1,150億ドルを投じる見通しで、その資金調達構造には3社が異なる形で関与しています。エヌビディアは最大1,000億ドルをオープンAIに投資し、チップの販売に加えてリース形式での提供も検討中です。AMDは自社株の最大10%をワラントとしてオープンAIに譲渡し、AIチップの供給契約を締結しました。ブロードコムはオープンAIとカスタムチップの共同開発を進めています。

株価とバリュエーションの乖離

契約発表後、AMDの株価は約40%上昇し、3社の中で最も高い評価を受ける状況となりました。発表前は3社とも翌年のEBITDA倍率が約32倍で横並びでしたが、現在はAMDが43倍、ブロードコムが33倍、エヌビディアが27倍と明確な差が生じています。
エヌビディアはAIデータセンター向けチップが売上の約9割を占める一方、AMDはデータセンター事業の比率が約4割に拡大。ブロードコムはソフトウェア事業を含む多角化戦略により、安定した利益率を維持しています。

オープンAI依存リスクと技術的優位性

記事では、オープンAIの成長が予想を下回った場合、最も影響を受けやすいのはAMDと分析されています。ラファー・テングラー・インベストメンツのジェイミー・マイヤーズ氏は「オープンAIが需要を過大評価していた場合、優先されるのはエヌビディア、次いでブロードコム、最後にAMDだろう」と述べています。

一方で、エヌビディアはソフトウェア面での優位性を背景に、AIチップ市場の80~90%という圧倒的なシェアを維持。多くの開発者が同社のCUDAソフトウェアを使い慣れているため、AMD製品への移行インセンティブは乏しい状況です。エヌビディアとブロードコムの粗利益率が約70%であるのに対し、AMDは50%を下回っています。

今後の見通し

キー・バンクのジョン・ヴィン氏は、AMDが将来的にAIチップ市場で20%のシェアを確保できる可能性を指摘する一方で、現在の高い株価にはすでに多くの成功が織り込まれていると分析しています。ブロードコムは顧客ごとにカスタム設計を行うため、契約破棄リスクが相対的に低い点が強みです。

エヌビディアの技術的優位性を踏まえると、本来は最も高い評価倍率で取引されるべき企業とされており、AMDの高バリュエーションには警戒も必要です。AIブームが続くなか、3社はいずれも成長機会とリスクの両面で、オープンAIの動向に大きく左右される局面にあります。

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