オラクル株が急落 AIクラウド成長見通しに市場が複雑な反応

  • 2025年10月18日
  • 2025年10月18日
  • BS余話

オラクル(ORCL)の経営陣は10月17日、アナリスト向け説明会で今後の業績見通しを発表しましたが、株価は説明後に下落しました。AIサーバーレンタル事業の収益性に関する懸念が再燃した形です。

AIサーバーレンタル事業の利益率を訂正

説明会でオラクルは、AIクラウドサーバーのレンタル事業における契約期間全体の粗利益率が35%であると説明しました。先週に報じられた「14%」という数字は、契約開始前のデータセンター立ち上げコストを含む一時的な数値であるとしています。この点を強調するスライドが示された際、一時的に株価は上昇しました。

競合するAIクラウド企業コアウィーブ(CRWV)は、直近四半期で51%の粗利益率を記録しており、オラクルとの収益構造の違いが注目されています。

2030年に向けた成長目標を上方修正

オラクルは、AIクラウド事業「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の2030年売上目標を1,440億ドルから1,660億ドルへ引き上げました。2025年度の売上が100億ドルであることを踏まえると、年平均成長率は約75%に達する見通しです。

さらに、全社ベースの売上目標も引き上げられ、2029年に1,850億ドル、2030年に2,250億ドルを目指すとしています。これは前年のアナリスト向け説明会から大幅な上方修正です。

市場反応とアナリストの評価

しかし、一時的に株価は上昇したものの、CFOによる長期見通し説明後に売りが優勢となり、株価は17日の米国市場午前の段階で約7%下落しました。市場では「好材料にもかかわらず売られた理由」が議論されています。

同社の受注残は5,000億ドルを超えており、そのうち3,000億ドルがオープンAIとの大型契約に関連しています。ただし、オープンAIがこの契約を遂行できる資金力を確保できるか、そしてオラクル側が必要な電力と設備を確保できるかが今後の焦点です。

アナリストの見解

キーバンク・キャピタル・マーケッツは「利益性重視の顧客戦略とコスト管理を両立しつつ、柔軟な資金調達を行っている」と評価し、オーバーウェイト(買い推奨)を維持、目標株価を350ドルに設定しました。メリウス・リサーチのベン・ライツィス氏はさらに強気で、目標株価を400ドルに引き上げました。

同氏は「推論型AIモデルによる推論需要が急拡大しており、オラクルはその恩恵を最も受ける企業の一つ」と指摘しています。


このように、オラクルはAIクラウド事業の成長戦略を明確に示しましたが、市場の反応は慎重でした。今後は、AIデータセンター拡張に伴うコスト負担と、契約履行能力が株価のカギを握る展開となりそうです。

*過去記事「オラクル株に23%の上昇余地、米国みずほ証券が強気継続

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